セピア色のメモリー
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虚圏には夜しかない。
太陽の温かさなど、存在しない。
ひんやりとした空気のもと、風兎は傍で眠る亜莉亜の頭にそっと手をのばす。
しかしそれは、柔らかな髪に触れる前に立ち止まり、冷たい砂の上に置かれた。
亜莉亜はすやすやと小さい寝息を立てながら寝ている。
それもそのはずだと風兎は思った。
あのあと、疲れ果てるまで打ち合いをしていたのだ。
手のひらが刀の柄に擦れたのか、時折痛んだ。
俺でさえこうなのだから、こいつはもっと辛いだろうな。
そんなにキツい思いをしてまで、強さを求める理由は何だ?
死神ではあっても、見たところ、学生って歳だろう。
風「推測は無用か。」
フッと笑い、亜莉亜の横に寝そべる。
風「師匠、なぁ」
自然と頬が弛緩する。
風「強くなれよ、亜莉亜──」
『ん……』
はっきりしない頭の中。
薄暗く冷たい空気。
重たい体を引きずって、亜莉亜は目を覚ます。
風兎の姿が見当たらず、周囲を目で探せば、岩陰から黒い髪の毛が見えていた。
彼は一体何者なのだろうか。
その疑問は、一晩経てども全く褪せない。
ただ、打ち合いをしていて気づいたことがある。
悪戯に虚の群れを探して飛び込むよりも、風兎の元で修業した方がよっぽど力になりそうだということである。
久しびりに体が痛くなるほど動いたと、そう感じた。
彼についてゆくしかない。
ぐっと力を入れ、体を伸ばす。
気を休めている暇なんてない。
頑張らなくちゃ。
中途半端にのびた髪の毛に手を伸ばす。
触れるたびに、拓斗の顔が浮かぶ。
拓斗が誉めてくれた、今となっては自慢の髪の毛。
拓斗は、こんな私を支えようとしてくれる。
こんな私のために心を痛めてくれる。
本当に、良く出来た人だ。
貴族でありながら、流魂街出身の私にも差別をしない。
私の部下として力を尽くしてくれようとしている。
それなのに、拓斗に勝てなくて、彼の上に立つ資格などあるだろうか。
隊長とは強いものでなくちゃ。
気高く、力強く、孤高の存在である隊長。
ここで強くなれなければ、私に隊長を語る資格なんてなくなってしまう。
今できるのは、全力で刀を握ること。
亜莉亜は、岩陰に見える風兎に向け、一歩踏み出した。
太陽の温かさなど、存在しない。
ひんやりとした空気のもと、風兎は傍で眠る亜莉亜の頭にそっと手をのばす。
しかしそれは、柔らかな髪に触れる前に立ち止まり、冷たい砂の上に置かれた。
亜莉亜はすやすやと小さい寝息を立てながら寝ている。
それもそのはずだと風兎は思った。
あのあと、疲れ果てるまで打ち合いをしていたのだ。
手のひらが刀の柄に擦れたのか、時折痛んだ。
俺でさえこうなのだから、こいつはもっと辛いだろうな。
そんなにキツい思いをしてまで、強さを求める理由は何だ?
死神ではあっても、見たところ、学生って歳だろう。
風「推測は無用か。」
フッと笑い、亜莉亜の横に寝そべる。
風「師匠、なぁ」
自然と頬が弛緩する。
風「強くなれよ、亜莉亜──」
『ん……』
はっきりしない頭の中。
薄暗く冷たい空気。
重たい体を引きずって、亜莉亜は目を覚ます。
風兎の姿が見当たらず、周囲を目で探せば、岩陰から黒い髪の毛が見えていた。
彼は一体何者なのだろうか。
その疑問は、一晩経てども全く褪せない。
ただ、打ち合いをしていて気づいたことがある。
悪戯に虚の群れを探して飛び込むよりも、風兎の元で修業した方がよっぽど力になりそうだということである。
久しびりに体が痛くなるほど動いたと、そう感じた。
彼についてゆくしかない。
ぐっと力を入れ、体を伸ばす。
気を休めている暇なんてない。
頑張らなくちゃ。
中途半端にのびた髪の毛に手を伸ばす。
触れるたびに、拓斗の顔が浮かぶ。
拓斗が誉めてくれた、今となっては自慢の髪の毛。
拓斗は、こんな私を支えようとしてくれる。
こんな私のために心を痛めてくれる。
本当に、良く出来た人だ。
貴族でありながら、流魂街出身の私にも差別をしない。
私の部下として力を尽くしてくれようとしている。
それなのに、拓斗に勝てなくて、彼の上に立つ資格などあるだろうか。
隊長とは強いものでなくちゃ。
気高く、力強く、孤高の存在である隊長。
ここで強くなれなければ、私に隊長を語る資格なんてなくなってしまう。
今できるのは、全力で刀を握ること。
亜莉亜は、岩陰に見える風兎に向け、一歩踏み出した。