セピア色のメモリー
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亜莉亜は、部屋から拓斗が出て行くのを見届けると、ぺたりと畳に座り込んだ。
『逃げちゃ、駄目なんだ。』
誰もいない空間で、そっと呟く。
こんな状況になったのは、全て私のせい。
しっかりと受け止めないと。
私の犯した罪を忘れてはいけない。
私のせいで深い傷を負った友達のためにも。
もう二度と、こんな事を繰り返さないためにも…。
『……ッ』
亜莉亜は膝を抱え、顔を伏せた。
やるせない思いがこみ上げてきて、頬を濡らしていく。
若草色の畳に、ポツリ、またポツリと切ない斑点ができた。
拓「……」
拓斗は、亜莉亜のいる部屋の襖に背中を預け、ただ目を伏せて立っていた。
拓「亜莉亜…」
声を押し殺して泣いている、その途切れ途切れの息遣いが、鉛のように重たい。
また、泣いてる。
一人で泣いてる。
いつもそう。
君は涙を見せてくれない。
どうして俺を頼ってくれないのかな。
俺は頼りないかな。
信用できないのかな。
確かに、俺は君より強い。
けど、俺は、君より強い事が嬉しい。
だって、君より強ければ、いざというとき俺は君を護ることができるから。
でもさ──
それは君を傷つける刃だったのかな。
「亜莉亜──ごめんね」
心の中に留めきれなかった言葉が、俺の口からほろりと漏れた。
たいして大きな声じゃなかったはずなのに、俺がそう言った途端、すすり泣く声が聞こえなくなった。
ハッとして、俺は亜莉亜のいる部屋を覗いた。
涙に濡れた青色と目が合った。
『何で……』
俺が何も言えずにいると、先に亜莉亜の方が口を開いた。
しかし、次の言葉はなかなか出てこない。
驚いた顔をしたまま、亜莉亜は動かなかった。
拓「あの、亜莉亜……?」
困った俺は、しばらくしてから肩をすくめ、笑った。
拓「あはは、聞かれちゃったかな、今の。──ごめんね、亜莉亜。俺がちゃんと君の近くにいたなら、こんな事にはならなかったのに。正直、今回の事は君の責任じゃなくて、俺の責任だと思う。隊長を護る役目の副隊長が駄目なヤツすぎて、こんな事になっちゃったんだ。よく分かったよ、自分がどんだけ浅はかだったか。だから──」
『何で拓斗が謝るの!』
金切り声で亜莉亜は叫んだ。
突然立ち上がった──と思えば、俺は亜莉亜に抱きしめられていた。
拓「えっ?ちょっと……あの……?」
こんな状況だけど、ちょっと、照れる。
『──から』
小さすぎてうまく聞き取れなかったけれど、亜莉亜が何か言った。
俺は耳を亜莉亜に寄せる。
『強くなるから。私、拓斗にそんな顔させないくらい、強く、なるから──!』
亜莉亜はそう言うと、俺に回した腕にぎゅっと力を入れ、そして、声を上げて泣いた。
背中をさすってあげなら、俺はそっと息をついた。
もう大丈夫だろう。
そう思ったのは、大きな間違いだった。
『逃げちゃ、駄目なんだ。』
誰もいない空間で、そっと呟く。
こんな状況になったのは、全て私のせい。
しっかりと受け止めないと。
私の犯した罪を忘れてはいけない。
私のせいで深い傷を負った友達のためにも。
もう二度と、こんな事を繰り返さないためにも…。
『……ッ』
亜莉亜は膝を抱え、顔を伏せた。
やるせない思いがこみ上げてきて、頬を濡らしていく。
若草色の畳に、ポツリ、またポツリと切ない斑点ができた。
拓「……」
拓斗は、亜莉亜のいる部屋の襖に背中を預け、ただ目を伏せて立っていた。
拓「亜莉亜…」
声を押し殺して泣いている、その途切れ途切れの息遣いが、鉛のように重たい。
また、泣いてる。
一人で泣いてる。
いつもそう。
君は涙を見せてくれない。
どうして俺を頼ってくれないのかな。
俺は頼りないかな。
信用できないのかな。
確かに、俺は君より強い。
けど、俺は、君より強い事が嬉しい。
だって、君より強ければ、いざというとき俺は君を護ることができるから。
でもさ──
それは君を傷つける刃だったのかな。
「亜莉亜──ごめんね」
心の中に留めきれなかった言葉が、俺の口からほろりと漏れた。
たいして大きな声じゃなかったはずなのに、俺がそう言った途端、すすり泣く声が聞こえなくなった。
ハッとして、俺は亜莉亜のいる部屋を覗いた。
涙に濡れた青色と目が合った。
『何で……』
俺が何も言えずにいると、先に亜莉亜の方が口を開いた。
しかし、次の言葉はなかなか出てこない。
驚いた顔をしたまま、亜莉亜は動かなかった。
拓「あの、亜莉亜……?」
困った俺は、しばらくしてから肩をすくめ、笑った。
拓「あはは、聞かれちゃったかな、今の。──ごめんね、亜莉亜。俺がちゃんと君の近くにいたなら、こんな事にはならなかったのに。正直、今回の事は君の責任じゃなくて、俺の責任だと思う。隊長を護る役目の副隊長が駄目なヤツすぎて、こんな事になっちゃったんだ。よく分かったよ、自分がどんだけ浅はかだったか。だから──」
『何で拓斗が謝るの!』
金切り声で亜莉亜は叫んだ。
突然立ち上がった──と思えば、俺は亜莉亜に抱きしめられていた。
拓「えっ?ちょっと……あの……?」
こんな状況だけど、ちょっと、照れる。
『──から』
小さすぎてうまく聞き取れなかったけれど、亜莉亜が何か言った。
俺は耳を亜莉亜に寄せる。
『強くなるから。私、拓斗にそんな顔させないくらい、強く、なるから──!』
亜莉亜はそう言うと、俺に回した腕にぎゅっと力を入れ、そして、声を上げて泣いた。
背中をさすってあげなら、俺はそっと息をついた。
もう大丈夫だろう。
そう思ったのは、大きな間違いだった。