セピア色のメモリー
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拓「やっほー亜莉亜!元気?」
『さぁ』
拓「さぁ──って何だよ」
目の前に降り立った少年は、一目で貴族だと分かるほど、高貴な服を着ている。
この少年こそが我妻拓斗である。
王属特務の副隊長であり、上流貴族、我妻家の一人息子だ。
二人は数年前、霊王によって引き合わされた。
最初の頃は、拓斗が一方的に亜莉亜にアタックし、亜莉亜はひたすら逃げるといったスタイルだったが、拓斗の努力のおかげか、亜莉亜は徐々に心を開くようになり、今では良き理解者同士である。
拓「霊術院に入るんだって?」
『嫌だったのに』
頬をぷっくりと膨らませ、そう呟く亜莉亜。
拓斗から見ると、可愛らしくてしょうがない。
拓「俺も、亜莉亜と一緒に行きたかったなぁ」
自然と口から漏れる言葉。
だが、拓斗の望みは叶いそうになかった。
何しろ、家が家である。
両親曰く、修行がしたいなら講師を雇うから、霊術院に行く必要はない。と。
『きっと、苛められる。友達なんかできるわけないよ。』
拓「大丈夫大丈夫。明るくやっとけば、何て事ないって。」
ネガティブ路線に一直線の亜莉亜だったが、拓斗に励まされ、少しだけ明るい気分になれた。
そして、ついに来た入学当日。
霊術院内の講堂には、たくさんの新入生たちが集まっていた。
「今日から霊術院生かぁ」
「死神への第一歩!頑張ろう!」
明るく希望に満ちた空間。
だが隅に、ぽっかりと空いた場所があった。
その中心では、明るい水色の髪を持つ少女が、異質な雰囲気を醸し出していた。
側に立て掛けられている斬魄刀の影響か、誰一人として彼女に近寄ろうとしない。
『ほぉら。やっぱりね。』
形の整った唇から呟かれた言葉は、誰の耳にも届かなかった。
だが、誰も近寄らないうちはまだ良かった。と、亜莉亜は思う。
そうこうしているうちに、恐いもの見たさに男子院生が近寄ってきたのだ。
「なぁなぁ、お前のその髪って何?染めてんの?プッ、だせぇ」
その男子院生と一緒にいた院生たちが、下品な笑い声を上げる。
「おい~ちょっと酷くねぇか?仮にも、お・ん・な・の・こ、だぜ。」
「へへっ、お前の方がたち悪いって!」
次第に、講堂内全体の話題が亜莉亜についてへと移る。
あちこちで囁かれる言葉。
はっきりとは聞こえなくても、亜莉亜には予想することが容易だった。
あんなの見たことがない
気持ち悪い
化け物じゃない
そんな言葉が、亜莉亜の思考を遮り、支配する。
言われなくても分かってる。
好きでこんな目立つ髪でいるんじゃない。
放っておいてよ。
「おい。こいつの髪、短く切ってやろうぜ。少しはまともになれるんじゃねぇの?」
「いいね~」
「やろうやろう。」
囲んでいたうちの一人が、亜莉亜の髪に手をかける。
亜莉亜は、自分の中で何かが弾けるのを感じた。
霊圧制御装置を着けているため、霊圧は上がっていないものの、その気迫は凄まじいものだった。
「何だよ!やる気か、てめぇ!」
『だったら何?』
「は?何か言った?聞こえないなぁ」
『だったら何って、言ってるんだけど!』
亜莉亜の尖った声が、講堂の隅々にまで響き渡る。
「ひっ!くそ!馬鹿にしてんじゃ……」
それでも尚、亜莉亜に向かってくる男子院生。
ヒュッ…
闇鬼の鈍く光る刃が、男子院生の喉元を捉える。
そのまま斬っても良かったのだが、亜莉亜は元柳斎の言葉を思いだし、斬ることを断念した。
決して、他の院生を傷つけることがないように──つい先日注意されたことだ。
「ひっ…や、やめろ…や、めてください…」
亜莉亜は静かに斬魄刀を下ろし、刀身を鞘へと戻す。
ふと辺りを見ると、目に入るのは、唖然としている院生たちと、静寂に支配された空間。
『さぁ』
拓「さぁ──って何だよ」
目の前に降り立った少年は、一目で貴族だと分かるほど、高貴な服を着ている。
この少年こそが我妻拓斗である。
王属特務の副隊長であり、上流貴族、我妻家の一人息子だ。
二人は数年前、霊王によって引き合わされた。
最初の頃は、拓斗が一方的に亜莉亜にアタックし、亜莉亜はひたすら逃げるといったスタイルだったが、拓斗の努力のおかげか、亜莉亜は徐々に心を開くようになり、今では良き理解者同士である。
拓「霊術院に入るんだって?」
『嫌だったのに』
頬をぷっくりと膨らませ、そう呟く亜莉亜。
拓斗から見ると、可愛らしくてしょうがない。
拓「俺も、亜莉亜と一緒に行きたかったなぁ」
自然と口から漏れる言葉。
だが、拓斗の望みは叶いそうになかった。
何しろ、家が家である。
両親曰く、修行がしたいなら講師を雇うから、霊術院に行く必要はない。と。
『きっと、苛められる。友達なんかできるわけないよ。』
拓「大丈夫大丈夫。明るくやっとけば、何て事ないって。」
ネガティブ路線に一直線の亜莉亜だったが、拓斗に励まされ、少しだけ明るい気分になれた。
そして、ついに来た入学当日。
霊術院内の講堂には、たくさんの新入生たちが集まっていた。
「今日から霊術院生かぁ」
「死神への第一歩!頑張ろう!」
明るく希望に満ちた空間。
だが隅に、ぽっかりと空いた場所があった。
その中心では、明るい水色の髪を持つ少女が、異質な雰囲気を醸し出していた。
側に立て掛けられている斬魄刀の影響か、誰一人として彼女に近寄ろうとしない。
『ほぉら。やっぱりね。』
形の整った唇から呟かれた言葉は、誰の耳にも届かなかった。
だが、誰も近寄らないうちはまだ良かった。と、亜莉亜は思う。
そうこうしているうちに、恐いもの見たさに男子院生が近寄ってきたのだ。
「なぁなぁ、お前のその髪って何?染めてんの?プッ、だせぇ」
その男子院生と一緒にいた院生たちが、下品な笑い声を上げる。
「おい~ちょっと酷くねぇか?仮にも、お・ん・な・の・こ、だぜ。」
「へへっ、お前の方がたち悪いって!」
次第に、講堂内全体の話題が亜莉亜についてへと移る。
あちこちで囁かれる言葉。
はっきりとは聞こえなくても、亜莉亜には予想することが容易だった。
あんなの見たことがない
気持ち悪い
化け物じゃない
そんな言葉が、亜莉亜の思考を遮り、支配する。
言われなくても分かってる。
好きでこんな目立つ髪でいるんじゃない。
放っておいてよ。
「おい。こいつの髪、短く切ってやろうぜ。少しはまともになれるんじゃねぇの?」
「いいね~」
「やろうやろう。」
囲んでいたうちの一人が、亜莉亜の髪に手をかける。
亜莉亜は、自分の中で何かが弾けるのを感じた。
霊圧制御装置を着けているため、霊圧は上がっていないものの、その気迫は凄まじいものだった。
「何だよ!やる気か、てめぇ!」
『だったら何?』
「は?何か言った?聞こえないなぁ」
『だったら何って、言ってるんだけど!』
亜莉亜の尖った声が、講堂の隅々にまで響き渡る。
「ひっ!くそ!馬鹿にしてんじゃ……」
それでも尚、亜莉亜に向かってくる男子院生。
ヒュッ…
闇鬼の鈍く光る刃が、男子院生の喉元を捉える。
そのまま斬っても良かったのだが、亜莉亜は元柳斎の言葉を思いだし、斬ることを断念した。
決して、他の院生を傷つけることがないように──つい先日注意されたことだ。
「ひっ…や、やめろ…や、めてください…」
亜莉亜は静かに斬魄刀を下ろし、刀身を鞘へと戻す。
ふと辺りを見ると、目に入るのは、唖然としている院生たちと、静寂に支配された空間。