京「一歩間違えば、大惨事になるとこだった。実力のある子たちに試合をさせるときは、そのくらいの注意はして欲しいもんだと思ってね。わざわざ口を挟んですまなかったよ。」
暮街は青い顔をして首を振った。
総隊長の養子のような亜莉亜にもし何かあれば、自分の地位が危うくなるということを思い出したのだろう。
浮「試合、続行しますか。」
暮「い、いいえ。一旦休息を入れます。……おい、休憩だ！集合をかけるまで、自由にしてろ！！」
暮街の指示を聞き、院生たちがぞれぞろと動き出す。
ほとんどの院生が、亜莉亜たちを見ていた。
なにしろ、自分達が日頃嫌っている奴と、自分達が神のようにあがめている隊長格が一緒にいるのだ。
気にならない訳がない。
浮「亜莉亜、大丈夫か？」
俯いたままの亜莉亜の頭を、浮竹が優しく撫でた。
『……やっぱり、私、生きてちゃいけないのかな。』
ポツリと呟かれた亜莉亜の言葉に、浮竹と京楽はぎょっとした。
『霊術院に入って、友達もできて、やっと、生きてるって実感できたのに。おかしいよね、やっぱり…』
ぐいっ
『！？』
いきなり腕が引っ張られ、亜莉亜はパッと振り向く。
姫「何言ってるのよ。」
そこには、瞳に涙を浮かべた姫香の姿があった。
『姫香……？』
姫「誰が、あんたにそんなこと言ったのよ。あたしは、あたしは、あんたがいなきゃ嫌なのよ！！自分のまわり、ちゃんと見なさいよ。あんたの事大切に思ってる人、たくさんいるじゃない！だから、生きてちゃいけないなんて、そんなこと、言わないでよぉっ！！」
声をあげて泣き出した姫香に、亜莉亜はハッと我にかえった。
私、一体何を考えていたんだろう。
大切な友達の事をすっかり忘れて……最低だ。
色々な人に助けられて生きてるのに、その人たちの思いを無駄にして。
私、私──