元「チッ…」
院生たちの声が静まり、目の前の試合に集中する。
暮「始め！」
元「よおし今から、この元樹様が」
亜莉亜は試合開始とともに、大きく踏み込んだ。
元「うえっ！？」
そして元樹の腹を真一文字に斬った。
暮「止め。」
あまりにも早い決着に、観戦していた院生たちはぽかんと口を開けている。
元「ちょっ、痛いじゃねえかよ！」
逆上した元樹が、夜一たちの元にに帰ろうとする亜莉亜の肩を──
ドシン！
元「痛えっ！！」
掴もうとしたが、亜莉亜がサッと避けたため、元樹は派手に転んだ。
夜「よくやったの！！」
喜「流石ッスね！」
姫「スッキリしたわ！！」
『当然だよ、あんなの…』
満面の笑みを浮かべる亜莉亜。

しばらくすると暮街が姫香を呼んだ。
暮「月城！どこだ！！」
姫「ふわ～い。ここですよお」
暮「試合だ！出てこい。」
姫「めんど。…じゃ、行ってくるね。」
『いってらっしゃい。たまには本気でやってみたら？』
姫香は亜莉亜に微笑むと、暮街の前に出ていった。
暮「月城、せいぜい怪我をしないように頑張れよ。では、始め！」
姫香の試合が始まった。
相手の名前は、山崎真琴。
流魂街出身の、割と大人しい女の子ではあるが、戦闘に関してはまあまあな実力を持っている。
姫「おいでよ。早く終わらせよう。真琴チャン。」
真「馬鹿にしないで！」
真琴が木刀を振り上げた。
姫「きゃっ…」
姫香は避けようと動くが、足をもつらせて転倒してしまう。
ビュッ…
真琴の木刀の先が、姫香の手前で停止する。
暮「止め。……月城、お前そんな調子じゃ、死神にはなれないぞ。」
暮街が、冷たい目で姫香を見た。
姫「別にいいも～ん。あたしは亜莉亜と一緒にいれたら十分だも～ん！」
ベーっと舌を出す姫香。
暮「……」
暮街は、姫香が気に入らないというように、眉を寄せた。