セピア色のメモリー
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深い闇を暖かな朝日が覆う。
闇はいつしか、爽やかな青空へと美しく変わった。
零番隊隊長である私は、既に支度を終え、自らの隊の隊舎前に来ていた。
カチャッ…
《零》と書かれた門にかかる、重く古い鍵を開ける。
古びた音を奏でながら、分厚い門が開いた。
その門の向こうに広がる、風流のある建物。
なぜ隊は比較的新しいのに、隊舎は古いのか。
そう疑問を浮かべる隊員は多かった。
だが、その答えは至って単純なもの。
零番隊隊舎として使われる前も、王属特務としての活動拠点として使っていたから、だ。
私と拓斗だけで活動を始めたあの頃。
まだあの時は零術院にも通っていたから、かれこれ百年以上前の事になるだろうか。
ふと遠くを見ると、一心不乱に木刀を振る、幼き日の自分が見えた気がした。
ヒュッ…
風を切り裂く鋭い音。
何度も繰り返し聞こえるその音は、何か強い意思を伝えているようでもある。
『……。』
木刀を振り回していた少女が、ふとそれを止めた。
少女は、空色の髪を留めていた紐に手をかける。
サラサラと流れ落ちる髪を、さっとすくい上げ、再び高い位置で一つに縛る。
どうやら、乱れた髪を直したかったようだ。
少女の名は、神影亜莉亜。
今年、真央霊術院に入学する予定である。
だが、同時に彼女は王族に仕える身でもある。
幼いときから彼女が持つ膨大な霊圧は、彼女自身を苦しめると同時に、彼女を王族に仕える高貴な身分へと押し上げていた。
そう。彼女は、現時点でも計り知れないほどの力を持っている。
本当なら、真央霊術院などという場所に通う必要はない。
それなのに真央霊術院に通う理由、それは彼女の育ての親、護廷十三隊総隊長かつ一番隊隊長の山本元柳斎重國にあった。
山「お主には来週から霊術院に通ってもらうことにした。」
突然の言葉。
『な、何故ですか?私の技量はそれほどまでとおっしゃるのですか!?』
山「案ずるな。お主は十分に強い。じゃが、お主は人と関わるとういう経験が足りぬのじゃ。お主はこれから、嫌でも、人の上に立つ身となるじゃろう。その時に必要なものは、他の死神との協調性じゃ。上に立つ者だからこそ、自らの部下と意志の疎通をはかり、信頼しあうことが重要と──」
『嫌!です……』
山「…」
『私は、他の者とは違っているのです。だから!』
亜莉亜は、自らの髪と目の色を気にしていた。
それもそのはず。彼女は、この山本元柳斎に拾われる前、流魂街の住人たちに、水色の髪に青い目で気持ちが悪いと避けられ、苛められてきたのだ。
人が恐い。
その思いは、なかなか彼女から消えなかった。
山「決まったことじゃ。」
元柳斎は、うろたえている亜莉亜に困ったような表情をしながらも、冷たく言い放った。
『そんな…!』
山「既に王族の許可も得た。卒業までは王属特務の任務よりも、霊術院に通い、自らを鍛えることに専念しろということじゃ。」
『──分かりました。』
元柳斎は静かに頷く。
『あっ、あの、拓斗は?』
我妻拓斗──そう、数年ほど前から、共に王属特務として活動している、亜莉亜の仲間であり、友達である。
形式上は亜莉亜のほうが上の立場となっているが、上下関係などあって無いようなものになっていた。
山「あやつも同等じゃ。しばらくは修行に励んでもらう。」
亜莉亜は納得したような顔を見せる。
山「王属特務であることを明かすでないぞ。」
『明かす気はございません。』
山「よかろう。入学までは好きにするとよい。」
そんなこんなで今に至る。
特にしたいことも見つからなかったので、ひたすら修行を積んでいるのだ。
『はぁ』
いい加減飽きてしまい、亜莉亜は縁側に腰掛ける。
シュタッ
突然何者かが、上から降ってきた。
だが亜莉亜は動じない。
何故なら、その何者かが誰か、分かっているから。
闇はいつしか、爽やかな青空へと美しく変わった。
零番隊隊長である私は、既に支度を終え、自らの隊の隊舎前に来ていた。
カチャッ…
《零》と書かれた門にかかる、重く古い鍵を開ける。
古びた音を奏でながら、分厚い門が開いた。
その門の向こうに広がる、風流のある建物。
なぜ隊は比較的新しいのに、隊舎は古いのか。
そう疑問を浮かべる隊員は多かった。
だが、その答えは至って単純なもの。
零番隊隊舎として使われる前も、王属特務としての活動拠点として使っていたから、だ。
私と拓斗だけで活動を始めたあの頃。
まだあの時は零術院にも通っていたから、かれこれ百年以上前の事になるだろうか。
ふと遠くを見ると、一心不乱に木刀を振る、幼き日の自分が見えた気がした。
ヒュッ…
風を切り裂く鋭い音。
何度も繰り返し聞こえるその音は、何か強い意思を伝えているようでもある。
『……。』
木刀を振り回していた少女が、ふとそれを止めた。
少女は、空色の髪を留めていた紐に手をかける。
サラサラと流れ落ちる髪を、さっとすくい上げ、再び高い位置で一つに縛る。
どうやら、乱れた髪を直したかったようだ。
少女の名は、神影亜莉亜。
今年、真央霊術院に入学する予定である。
だが、同時に彼女は王族に仕える身でもある。
幼いときから彼女が持つ膨大な霊圧は、彼女自身を苦しめると同時に、彼女を王族に仕える高貴な身分へと押し上げていた。
そう。彼女は、現時点でも計り知れないほどの力を持っている。
本当なら、真央霊術院などという場所に通う必要はない。
それなのに真央霊術院に通う理由、それは彼女の育ての親、護廷十三隊総隊長かつ一番隊隊長の山本元柳斎重國にあった。
山「お主には来週から霊術院に通ってもらうことにした。」
突然の言葉。
『な、何故ですか?私の技量はそれほどまでとおっしゃるのですか!?』
山「案ずるな。お主は十分に強い。じゃが、お主は人と関わるとういう経験が足りぬのじゃ。お主はこれから、嫌でも、人の上に立つ身となるじゃろう。その時に必要なものは、他の死神との協調性じゃ。上に立つ者だからこそ、自らの部下と意志の疎通をはかり、信頼しあうことが重要と──」
『嫌!です……』
山「…」
『私は、他の者とは違っているのです。だから!』
亜莉亜は、自らの髪と目の色を気にしていた。
それもそのはず。彼女は、この山本元柳斎に拾われる前、流魂街の住人たちに、水色の髪に青い目で気持ちが悪いと避けられ、苛められてきたのだ。
人が恐い。
その思いは、なかなか彼女から消えなかった。
山「決まったことじゃ。」
元柳斎は、うろたえている亜莉亜に困ったような表情をしながらも、冷たく言い放った。
『そんな…!』
山「既に王族の許可も得た。卒業までは王属特務の任務よりも、霊術院に通い、自らを鍛えることに専念しろということじゃ。」
『──分かりました。』
元柳斎は静かに頷く。
『あっ、あの、拓斗は?』
我妻拓斗──そう、数年ほど前から、共に王属特務として活動している、亜莉亜の仲間であり、友達である。
形式上は亜莉亜のほうが上の立場となっているが、上下関係などあって無いようなものになっていた。
山「あやつも同等じゃ。しばらくは修行に励んでもらう。」
亜莉亜は納得したような顔を見せる。
山「王属特務であることを明かすでないぞ。」
『明かす気はございません。』
山「よかろう。入学までは好きにするとよい。」
そんなこんなで今に至る。
特にしたいことも見つからなかったので、ひたすら修行を積んでいるのだ。
『はぁ』
いい加減飽きてしまい、亜莉亜は縁側に腰掛ける。
シュタッ
突然何者かが、上から降ってきた。
だが亜莉亜は動じない。
何故なら、その何者かが誰か、分かっているから。
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