第十六話 ー絶望ー
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亜莉亜が、かつての敵であるルシファーから衝撃的な話を聞いたその日の夜。
例の事件のせいで人通りが少なくなっている瀞霊廷の路地を、一人ゆらゆらと歩く人物がいた。
我妻家の家紋が入った羽織が、その人物が一歩足を進めるたびに、ひらひらと風に靡く。
──我妻家現当主である我妻拓斗は、使用人たちの反対を押し切り、散歩に出かけていた。
どうしても、眠れなかったのだ。
“瀞霊廷を護る気はない”
そう断言をしてここまでやってはきたものの、異常でしかないこの状況に、流石に頭を抱えていた。
一晩にして、五十人弱の死者──。
犯人はそれだけの死神を殺したというのに、その姿を見たという者は一人もいない。
犯人について何も分からないまま、また夜を迎えてしまった。
単純に考えれば、今晩も被害は出る。
もしかしたら、五十人を軽く超えてしまうかもしれない。
犯人は何者なんだ。
そして、最初の遺体にわずかに残されていた亜莉亜の霊圧の名残…
あれは何だったんだ?
ここで今、一体何が起きている?
ふいに拓斗の足が止まった。
鋭い視線で辺りを見回す拓斗。
拓「さっきからずっと俺に着いてきていたね。何のつもり?…さっさと姿を現せよ。」
そう言った声は、重々しくて冷たい雰囲気を帯びていた。
霊圧を研ぎ澄まし、極限まで辺りの動きに気を配る拓斗だが、依然周囲に動きはない。
拓「俺をあまり見くびるなよ…。出てこないなら、こっちから行かせてもらうから。」
なんて脅しが聞く相手じゃなさそうだけど、他に打てる手が思いつかない。
せめてヤツの正確な位置さえ分かれば、こっちも動きやすいってものなのに。
まいったな…。
俺に向けられている視線は確かに感じるのに、その出所はさっぱり掴めない。
ここまで霊圧を消し、姿を隠せるなんて、こいつは一体──?
ザザッ!
背後で何かの音がして、拓斗は咄嗟に振り向いた。
その右手は、しっかりと刀の柄にかけられている。
拓「!!」
拓斗の視線が、ある一点に釘付けになった。
そこには、月明かりを背に異様な空気を漂わせて立つ、黒いコートが特徴的な人物がいた。
拓斗はその人物の顔に目を凝らすが、フードを深く被っている上に白いお面をつけているようで、人物の顔はほとんど見えない。
拓「君は誰?俺に何の用?」
拓斗がそう尋ねると、黒コートの人物は俯き、お面を外した。
そして、ニヤリと口元を歪めると一気にフードを脱ぎ、その姿を堂々と拓斗に晒した。
例の事件のせいで人通りが少なくなっている瀞霊廷の路地を、一人ゆらゆらと歩く人物がいた。
我妻家の家紋が入った羽織が、その人物が一歩足を進めるたびに、ひらひらと風に靡く。
──我妻家現当主である我妻拓斗は、使用人たちの反対を押し切り、散歩に出かけていた。
どうしても、眠れなかったのだ。
“瀞霊廷を護る気はない”
そう断言をしてここまでやってはきたものの、異常でしかないこの状況に、流石に頭を抱えていた。
一晩にして、五十人弱の死者──。
犯人はそれだけの死神を殺したというのに、その姿を見たという者は一人もいない。
犯人について何も分からないまま、また夜を迎えてしまった。
単純に考えれば、今晩も被害は出る。
もしかしたら、五十人を軽く超えてしまうかもしれない。
犯人は何者なんだ。
そして、最初の遺体にわずかに残されていた亜莉亜の霊圧の名残…
あれは何だったんだ?
ここで今、一体何が起きている?
ふいに拓斗の足が止まった。
鋭い視線で辺りを見回す拓斗。
拓「さっきからずっと俺に着いてきていたね。何のつもり?…さっさと姿を現せよ。」
そう言った声は、重々しくて冷たい雰囲気を帯びていた。
霊圧を研ぎ澄まし、極限まで辺りの動きに気を配る拓斗だが、依然周囲に動きはない。
拓「俺をあまり見くびるなよ…。出てこないなら、こっちから行かせてもらうから。」
なんて脅しが聞く相手じゃなさそうだけど、他に打てる手が思いつかない。
せめてヤツの正確な位置さえ分かれば、こっちも動きやすいってものなのに。
まいったな…。
俺に向けられている視線は確かに感じるのに、その出所はさっぱり掴めない。
ここまで霊圧を消し、姿を隠せるなんて、こいつは一体──?
ザザッ!
背後で何かの音がして、拓斗は咄嗟に振り向いた。
その右手は、しっかりと刀の柄にかけられている。
拓「!!」
拓斗の視線が、ある一点に釘付けになった。
そこには、月明かりを背に異様な空気を漂わせて立つ、黒いコートが特徴的な人物がいた。
拓斗はその人物の顔に目を凝らすが、フードを深く被っている上に白いお面をつけているようで、人物の顔はほとんど見えない。
拓「君は誰?俺に何の用?」
拓斗がそう尋ねると、黒コートの人物は俯き、お面を外した。
そして、ニヤリと口元を歪めると一気にフードを脱ぎ、その姿を堂々と拓斗に晒した。