第十五話 ー虐めー
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龍「うわぁぁぁぁっ!!!」
松本龍は、他隊の隊舎の屋根の上で青空に向かって叫んだ。
スッキリと晴れ渡る空。
普段なら楽しくて仕方が無いはずなのに、少しも気持ちよく感じない。
むしろ、こんな状況でも呑気に晴れている空に、むしゃくしゃしていた。
叫んだついでに、足元の瓦を思いっきり蹴りつけた。
瓦は乾いた音を立てて、呆気なく割れた。
だが、それ以外に、辺りには何も変化がない。
龍「ちぇっ…!」
これが普通だったら、隊長がいたなら、隊舎が活気に包まれていたなら。
絶対誰かがすぐに飛んできて、他隊の屋根を壊したことを叱ってくれるだろうに。
握り締めた拳がプルプルと震えた。
ガンッ!!
苛立ちに任せて、繰り返し瓦を蹴りつけた。
龍「この野郎!!」
「やめなさい!!」
ふと聞こえた大好きな声に、先程までの行動が嘘のように、龍はぴたりと動きを止めた。
「龍、やめなさい。」
龍の体が、温かくて柔らかくて、優しいものに包まれた。
龍「――姉貴…」
龍は背後から自分を抱きしめる腕に、そっと手を添えた。
乱「血、出てるわ。手当てしてあげるから、うちの隊にいらっしゃい。」
乱菊は小さな子供をあやすように語りかけた。
その言葉で、足を怪我していたことに龍は初めて気付いた。
龍「ごめん…」
龍が弱々しい声で謝れば、乱菊は龍を抱きしめていた手をそっと離した。
乱「さ、行きましょう。」
乱菊は龍の手をしっかり握ると、瞬歩で十番隊隊舎に向かった。
冬「松本ぉぉおお!!お前、仕事の途中で…!!」
隊舎に戻ってきた乱菊を叱ろうと声を上げた冬獅郎は、乱菊が手を引いている龍を見てハッと息をのんだ。
乱「すみません、隊長。もう少しだけ休憩させてください。」
珍しく真面目な様子でそう請う副官の姿に、冬獅郎は頷くしかなかった。
乱「さ、龍、そこに座りなさい。」
乱菊が促すと、龍はどさりとソファーに腰を下ろした。
乱「えっと、救急箱、救急箱…あれ?隊長、どこにやったか知りません?」
乱菊は近くの棚をあさりながら、冬獅郎に声をかけた。
冬「仮眠室だ。いつもあそこに置いてあるだろ。」
冬獅郎が呆れつつも救急箱の在り処を教えると、乱菊はそうそう、と手を叩き、仮眠室から救急箱を抱えてきた。
乱「龍、足、見せて。」
龍「…」
龍が黙ったまま右足を前に出した。
松本龍は、他隊の隊舎の屋根の上で青空に向かって叫んだ。
スッキリと晴れ渡る空。
普段なら楽しくて仕方が無いはずなのに、少しも気持ちよく感じない。
むしろ、こんな状況でも呑気に晴れている空に、むしゃくしゃしていた。
叫んだついでに、足元の瓦を思いっきり蹴りつけた。
瓦は乾いた音を立てて、呆気なく割れた。
だが、それ以外に、辺りには何も変化がない。
龍「ちぇっ…!」
これが普通だったら、隊長がいたなら、隊舎が活気に包まれていたなら。
絶対誰かがすぐに飛んできて、他隊の屋根を壊したことを叱ってくれるだろうに。
握り締めた拳がプルプルと震えた。
ガンッ!!
苛立ちに任せて、繰り返し瓦を蹴りつけた。
龍「この野郎!!」
「やめなさい!!」
ふと聞こえた大好きな声に、先程までの行動が嘘のように、龍はぴたりと動きを止めた。
「龍、やめなさい。」
龍の体が、温かくて柔らかくて、優しいものに包まれた。
龍「――姉貴…」
龍は背後から自分を抱きしめる腕に、そっと手を添えた。
乱「血、出てるわ。手当てしてあげるから、うちの隊にいらっしゃい。」
乱菊は小さな子供をあやすように語りかけた。
その言葉で、足を怪我していたことに龍は初めて気付いた。
龍「ごめん…」
龍が弱々しい声で謝れば、乱菊は龍を抱きしめていた手をそっと離した。
乱「さ、行きましょう。」
乱菊は龍の手をしっかり握ると、瞬歩で十番隊隊舎に向かった。
冬「松本ぉぉおお!!お前、仕事の途中で…!!」
隊舎に戻ってきた乱菊を叱ろうと声を上げた冬獅郎は、乱菊が手を引いている龍を見てハッと息をのんだ。
乱「すみません、隊長。もう少しだけ休憩させてください。」
珍しく真面目な様子でそう請う副官の姿に、冬獅郎は頷くしかなかった。
乱「さ、龍、そこに座りなさい。」
乱菊が促すと、龍はどさりとソファーに腰を下ろした。
乱「えっと、救急箱、救急箱…あれ?隊長、どこにやったか知りません?」
乱菊は近くの棚をあさりながら、冬獅郎に声をかけた。
冬「仮眠室だ。いつもあそこに置いてあるだろ。」
冬獅郎が呆れつつも救急箱の在り処を教えると、乱菊はそうそう、と手を叩き、仮眠室から救急箱を抱えてきた。
乱「龍、足、見せて。」
龍「…」
龍が黙ったまま右足を前に出した。