第十三話 ー衝突ー
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拓斗にじっと見つめられ、言いようもない体の強張りにに杏樹はハッと目をそらした。
杏「わ、私は…」
拓「はっきり言って。俺は君の考えを聞きたい。」
硬く握られた杏樹の拳が、細かく震える。
杏「私は…副隊長の考えが全く理解できません…ッ!!」
杏樹は苦悶の表情で言った。
それを聞き、拓斗は落胆したように目をそらした。
杏「確かに、私を育ててくれたのはまぎれもなく隊長、神影亜莉亜隊長です。だけど、だからこそ、尸魂界は護らないといけないと、そう思います!…それが隊長の意思だと私は思ってます。」
たたみかけるように杏樹は訴える。
拓「尸魂界はもう、彼女の敵だ。彼女から受けた恩を、あだで返した。」
拓斗が凍てつくほどの冷たく低い声で言った。
杏「違います!!彼らは、危険を顧みず隊長を助けるために色々と手を回して…」
拓「けれど、裏切った。その事実は消えない。」
杏「裏切ってなんかいません!!あの時は、表面上だけ王族に従う素振りを見せただけでっ」
拓「十分だ」
ガタンッ!!
拓斗に蹴飛ばされた椅子が、虚しく転がった。
拓「素振り…?素振りだけだから、表面上だから裏切ってもいい?何の罪も無い亜莉亜に刀を向けていい!?…馬鹿げてる。それは裏切りと同じ。たとえ本人たちがどう思っていようと、亜莉亜はそれを知らない。彼女にとっては裏切りでしかない。――奴等は、立派な裏切り者だ。もう俺は、誰も、信じられない。…そうだ、杏樹!俺のことはもう放っておいてくれないかなぁ?隊長権限も、副隊長権限も全部君に譲るよ。隊のことは勝手に進めていいから。」
拓斗はそれだけ言って、杏樹に背を向けた。
杏「待って下さい!!」
杏樹は茶色の透き通った瞳に涙を浮かべながらも、拓斗の死覇装を必死に掴んだ。
杏「隊長は必ず帰ってきます!そのときまで尸魂界をしっかり護っておきましょうよ!尸魂界を護ることが隊長の意思でしょう!?ねぇ、副隊長ぉッ!!」
拓「良かったね、憧れの隊長の仕事ができるよ。じゃ、頑張ってね」
パンッ
杏「あ…」
拓斗を留めていた杏樹の手が叩かれ、杏樹の手から拓斗の死覇装がすり抜けていく。
ドアノブに手をかけた拓斗は、呆然と床に座りこむ杏樹を一目見て、感情の無い声で言った。
拓「亜莉亜がいないここを護る気なんてさらさら無いし、彼女を裏切ったここを許す気も全く無いよ。――少なくとも、彼女の声を聞くまでは。」
バタン…
拓斗の出て行った執務室のドアが、寂しそうな音を立てて閉まった。
杏「ぅっ…ひくっ…」
杏樹の頬を滑り落ちた涙が、ぽたぽたと床に染みを作った。
収まりそうにない涙で視界が淀む。
…どうしてこんな事になってしまったんだろう?
副隊長はこんな人じゃないのに。
隊長がいたころは、もっと優しくて知的で冷静で…
隊長を、心から愛していた。
杏「隊長…っ早く帰ってきて……!!!」
叫びは細く震えていた。
杏「わ、私は…」
拓「はっきり言って。俺は君の考えを聞きたい。」
硬く握られた杏樹の拳が、細かく震える。
杏「私は…副隊長の考えが全く理解できません…ッ!!」
杏樹は苦悶の表情で言った。
それを聞き、拓斗は落胆したように目をそらした。
杏「確かに、私を育ててくれたのはまぎれもなく隊長、神影亜莉亜隊長です。だけど、だからこそ、尸魂界は護らないといけないと、そう思います!…それが隊長の意思だと私は思ってます。」
たたみかけるように杏樹は訴える。
拓「尸魂界はもう、彼女の敵だ。彼女から受けた恩を、あだで返した。」
拓斗が凍てつくほどの冷たく低い声で言った。
杏「違います!!彼らは、危険を顧みず隊長を助けるために色々と手を回して…」
拓「けれど、裏切った。その事実は消えない。」
杏「裏切ってなんかいません!!あの時は、表面上だけ王族に従う素振りを見せただけでっ」
拓「十分だ」
ガタンッ!!
拓斗に蹴飛ばされた椅子が、虚しく転がった。
拓「素振り…?素振りだけだから、表面上だから裏切ってもいい?何の罪も無い亜莉亜に刀を向けていい!?…馬鹿げてる。それは裏切りと同じ。たとえ本人たちがどう思っていようと、亜莉亜はそれを知らない。彼女にとっては裏切りでしかない。――奴等は、立派な裏切り者だ。もう俺は、誰も、信じられない。…そうだ、杏樹!俺のことはもう放っておいてくれないかなぁ?隊長権限も、副隊長権限も全部君に譲るよ。隊のことは勝手に進めていいから。」
拓斗はそれだけ言って、杏樹に背を向けた。
杏「待って下さい!!」
杏樹は茶色の透き通った瞳に涙を浮かべながらも、拓斗の死覇装を必死に掴んだ。
杏「隊長は必ず帰ってきます!そのときまで尸魂界をしっかり護っておきましょうよ!尸魂界を護ることが隊長の意思でしょう!?ねぇ、副隊長ぉッ!!」
拓「良かったね、憧れの隊長の仕事ができるよ。じゃ、頑張ってね」
パンッ
杏「あ…」
拓斗を留めていた杏樹の手が叩かれ、杏樹の手から拓斗の死覇装がすり抜けていく。
ドアノブに手をかけた拓斗は、呆然と床に座りこむ杏樹を一目見て、感情の無い声で言った。
拓「亜莉亜がいないここを護る気なんてさらさら無いし、彼女を裏切ったここを許す気も全く無いよ。――少なくとも、彼女の声を聞くまでは。」
バタン…
拓斗の出て行った執務室のドアが、寂しそうな音を立てて閉まった。
杏「ぅっ…ひくっ…」
杏樹の頬を滑り落ちた涙が、ぽたぽたと床に染みを作った。
収まりそうにない涙で視界が淀む。
…どうしてこんな事になってしまったんだろう?
副隊長はこんな人じゃないのに。
隊長がいたころは、もっと優しくて知的で冷静で…
隊長を、心から愛していた。
杏「隊長…っ早く帰ってきて……!!!」
叫びは細く震えていた。