第十二話 ー覚醒ー
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おまけ 怜×魅月SS
眺めの良い緑の丘に立つ、二つの小さな石。
その前にゆっくりとひざまずくと、魅月は手に持っていた花束をその石の前に添えた。
「お父様、お母様…」
小さく呟いたその言葉が、風に吹かれ大空に消えていく。
魅月はふと振り返ると、困ったように首をかしげた。
「折角お墓参りに来させてもらったけど…一体、どんな言葉をかけたらいいんだろ?」
「何でも良い。お前の言葉なら、二人は何でも喜んでくれるはずだ」
魅月の背後に立っていた怜が、優しい声で答えた。
「――こうやってお墓参りできてるのも、全部神影隊長のお蔭なんだよね」
ふいに魅月が言った。
その言葉に、怜はハッとしたように魅月を見た。
「王族に処刑をされた罪人のお墓なんて、立てられるはずないもの。――それくらい、知ってるわ」
魅月は落ち着いた声でそう語った。
「――二人の処刑が終わった後、隊長が王族に頼み込んで、遺体を引き取らせてもらったらしい」
しばらくの沈黙ののち、怜は観念したというように息をつくと、知っていることを魅月に話し始めた。
「隊長が言っていた。瀞霊廷全土を見渡せるこの丘に墓を作ったのは、これから立派に成長するであろう兄妹の姿を見守ってもらうため。ここはいつでも優しい風が吹くから、きっと二人の思いを兄妹に運んでくれるだろう、と」
「私たち、立派に成長できてるかな…?お兄様」
魅月が、地平線から赤く染まり始めた瀞霊廷をぼんやりと眺めながら、尋ねた。
「さあ、どうだろうな」
怜は控えめにおどけてみせると、立ちすくむ魅月の隣にそっと立った。
「…だが、きっと、これからもっと成長できる。お前も、俺も」
真っ直ぐな漆黒の瞳が、互いを見つめた。
「何度苦しんだって、何度悩んだって、何度間違えたっていいんだ。あの人が、隊長がいる限り、俺たちは何度でもやり直すことができる。正しい道を見つけることができる。だから…」
「”これからも二人でしっかり生きていこう”…そうでしょう?」
魅月は怜の言葉を奪い、得意げに笑った。
「参ったな…お前には全てお見通しか」
怜は愛する妹の笑みに、柔らかく微笑んだ。
サアァッ…
二人を心地よい風が包み込んだ。
「この風…もしかして!」
魅月の表情が輝いた。
「父上と母上かもしれないな。」
怜が遥か遠くを見ながら答える。
魅月は怜の手をぎゅっと握ると、広大な瀞霊廷を包む夕焼けに体を向け、大きく息を吸った。
「お父様、お母様ーっ!!」
力の限りに叫ぶ。
「私は、お兄様は、元気にしていますー!!」
遠くに、もっと遠くに。
「だから、安心してくださーいっ!!」
世界中に響き渡るように。
「ちゃんと、ちゃんと生きるから―――っ!!!
声が、届くように。
眺めの良い緑の丘に立つ、二つの小さな石。
その前にゆっくりとひざまずくと、魅月は手に持っていた花束をその石の前に添えた。
「お父様、お母様…」
小さく呟いたその言葉が、風に吹かれ大空に消えていく。
魅月はふと振り返ると、困ったように首をかしげた。
「折角お墓参りに来させてもらったけど…一体、どんな言葉をかけたらいいんだろ?」
「何でも良い。お前の言葉なら、二人は何でも喜んでくれるはずだ」
魅月の背後に立っていた怜が、優しい声で答えた。
「――こうやってお墓参りできてるのも、全部神影隊長のお蔭なんだよね」
ふいに魅月が言った。
その言葉に、怜はハッとしたように魅月を見た。
「王族に処刑をされた罪人のお墓なんて、立てられるはずないもの。――それくらい、知ってるわ」
魅月は落ち着いた声でそう語った。
「――二人の処刑が終わった後、隊長が王族に頼み込んで、遺体を引き取らせてもらったらしい」
しばらくの沈黙ののち、怜は観念したというように息をつくと、知っていることを魅月に話し始めた。
「隊長が言っていた。瀞霊廷全土を見渡せるこの丘に墓を作ったのは、これから立派に成長するであろう兄妹の姿を見守ってもらうため。ここはいつでも優しい風が吹くから、きっと二人の思いを兄妹に運んでくれるだろう、と」
「私たち、立派に成長できてるかな…?お兄様」
魅月が、地平線から赤く染まり始めた瀞霊廷をぼんやりと眺めながら、尋ねた。
「さあ、どうだろうな」
怜は控えめにおどけてみせると、立ちすくむ魅月の隣にそっと立った。
「…だが、きっと、これからもっと成長できる。お前も、俺も」
真っ直ぐな漆黒の瞳が、互いを見つめた。
「何度苦しんだって、何度悩んだって、何度間違えたっていいんだ。あの人が、隊長がいる限り、俺たちは何度でもやり直すことができる。正しい道を見つけることができる。だから…」
「”これからも二人でしっかり生きていこう”…そうでしょう?」
魅月は怜の言葉を奪い、得意げに笑った。
「参ったな…お前には全てお見通しか」
怜は愛する妹の笑みに、柔らかく微笑んだ。
サアァッ…
二人を心地よい風が包み込んだ。
「この風…もしかして!」
魅月の表情が輝いた。
「父上と母上かもしれないな。」
怜が遥か遠くを見ながら答える。
魅月は怜の手をぎゅっと握ると、広大な瀞霊廷を包む夕焼けに体を向け、大きく息を吸った。
「お父様、お母様ーっ!!」
力の限りに叫ぶ。
「私は、お兄様は、元気にしていますー!!」
遠くに、もっと遠くに。
「だから、安心してくださーいっ!!」
世界中に響き渡るように。
「ちゃんと、ちゃんと生きるから―――っ!!!
声が、届くように。