第九話 ー白ー
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耳元で独特の音を立てる風。
暗い灰色の雲を背に満足げに笑うナスティーの姿が、みるみる遠ざかっていく。
浮遊感と背中を押し上げる厚い空気に、今の自分の置かれた状況を嫌というほど知らされる。
霊圧を一切持たない上に、あまりにも傷を負いすぎた体。
こんな状況に手の打ちようがなく、ひたすら地上との距離が延びていくだけだ。
せめて霊圧だけでも自由に扱えたのなら…なんて、ありもしないことを考えている私がいる。
…もう、駄目だよな。
もう、どこにも力が入らないんだ。
諦めても良いよな…。
許してくれよ、皆。
私はもう――
《――》
もう、十分に戦ったんだ…。
《――》
それに、私にはもう、何も価値は無い。だから…
《――ッ!》
だから、もう、死なせて
《亜莉亜ッ!!》
確かに聞こえた声に亜莉亜はハッと目を見開いた。
同時に、現実世界との交信がプツリと途切れる。
次に亜莉亜が見たものは、飽きるほど知り尽くしているはずの自分の精神世界だった。
しかし、
『これは…!?』
目の前に広がるのはいつも通りの薄暗い森ではなかった。
「受け止めなさい。」
『だ、誰だ!』
闇鬼しかいないはずの世界に、凜とした女性の声が響く。
「受け止めなさい。そして、受け入れなさい。」
全てが白に統一された空間から、分厚く重たい白の着物を着た女が現れた。
『貴様は何者だ!闇鬼はどうし…』
パシンッ!!
「いい加減にしなさいよ!」
『!』
頬に走った痛みと、感情的に叫ぶ女の姿に亜莉亜は言葉を失った。
「一体いつまで、そうやって古い過去にこだわるの!?どうして新しいものを探そうとしないの!?何故あんたはあんた自身を見ようとしないの!!」
『…。』
「何で今更諦めてるのよ!死にたい?それは本心?約束はどうするの?あの子達はどうするの!?あんたが諦めることは、あの男にあの子達を差し出すことと同じなのよ!!」
瑚絽音、瞬…
あいつらが殺される…?
そうだ。
『私がやらなきゃ…殺される…っ』
「そうよ。あんたがやるしかないの。だから、馬鹿な考えはさっさと捨てなさい。あんた自身の思いを出しなさい!」
私自身の思い…?
私は…
私は――
暗い灰色の雲を背に満足げに笑うナスティーの姿が、みるみる遠ざかっていく。
浮遊感と背中を押し上げる厚い空気に、今の自分の置かれた状況を嫌というほど知らされる。
霊圧を一切持たない上に、あまりにも傷を負いすぎた体。
こんな状況に手の打ちようがなく、ひたすら地上との距離が延びていくだけだ。
せめて霊圧だけでも自由に扱えたのなら…なんて、ありもしないことを考えている私がいる。
…もう、駄目だよな。
もう、どこにも力が入らないんだ。
諦めても良いよな…。
許してくれよ、皆。
私はもう――
《――》
もう、十分に戦ったんだ…。
《――》
それに、私にはもう、何も価値は無い。だから…
《――ッ!》
だから、もう、死なせて
《亜莉亜ッ!!》
確かに聞こえた声に亜莉亜はハッと目を見開いた。
同時に、現実世界との交信がプツリと途切れる。
次に亜莉亜が見たものは、飽きるほど知り尽くしているはずの自分の精神世界だった。
しかし、
『これは…!?』
目の前に広がるのはいつも通りの薄暗い森ではなかった。
「受け止めなさい。」
『だ、誰だ!』
闇鬼しかいないはずの世界に、凜とした女性の声が響く。
「受け止めなさい。そして、受け入れなさい。」
全てが白に統一された空間から、分厚く重たい白の着物を着た女が現れた。
『貴様は何者だ!闇鬼はどうし…』
パシンッ!!
「いい加減にしなさいよ!」
『!』
頬に走った痛みと、感情的に叫ぶ女の姿に亜莉亜は言葉を失った。
「一体いつまで、そうやって古い過去にこだわるの!?どうして新しいものを探そうとしないの!?何故あんたはあんた自身を見ようとしないの!!」
『…。』
「何で今更諦めてるのよ!死にたい?それは本心?約束はどうするの?あの子達はどうするの!?あんたが諦めることは、あの男にあの子達を差し出すことと同じなのよ!!」
瑚絽音、瞬…
あいつらが殺される…?
そうだ。
『私がやらなきゃ…殺される…っ』
「そうよ。あんたがやるしかないの。だから、馬鹿な考えはさっさと捨てなさい。あんた自身の思いを出しなさい!」
私自身の思い…?
私は…
私は――