ナ「よぉ、ガキ。」
ニヤリと顔を歪めるナスティー。
瑚「ど、どうして貴方が…！」
そう言いながら亜莉亜の姿を探すが、どこにも見当たらない。
悪い予感が頭をよぎった。
瑚「亜莉亜は一体どうしたのですかっ！」
ぎゅっと瞬を抱き締め、震える声で叫ぶ。
亜莉亜が無事であることを、どうにか信じていたかった。
もしかしたら、すぐに亜莉亜が助けに来てくれるかもしれない。
きっと亜莉亜は無事だ。
…そんな淡い希望は、ナスティーの一言によって粉々に砕け散った。
ナ「あー…アイツか？アイツなら――殺した。」
瑚「っ！！」
瑚絽音の目が真ん丸に見開かれる。
それを楽しそうに見ながら、ナスティーは続けた。
ナ「ま、殺したっていうか、落とした、って言うべきだろうな。今頃血まみれで死んでるだろうよ。“零番隊隊長が崖から転落死”なんて笑えると思わねぇか？…ククッ、ぐちゃぐちゃに潰れてよぉ、内臓が散らばってさ、きっとむごい状態になってんぞ。てめえら吸収して、早く拝みに行きてぇなぁ…！！」
瑚「や…嫌っ…亜莉亜…」
亜莉亜の身に起きているであろう事を知り、瑚絽音の瞳から涙が溢れる。
ナ「ろくな力も無いくせに正義ぶった事ばっか言って、本当にイラつく奴だったよ。ま、弱っちかったお蔭で俺はてめえらを簡単に頂けるんだ。ある意味感謝すべきかもな。」
ナスティーは恍惚とした表情で、刀を振り上げた。
ナ「さぁガキ、大人しく俺の一部になれ。」
ヒュッ！
ナスティーは刀を降り下ろした。
しかし…
ナ「ガキ…てめぇ、俺を馬鹿にしやがったな。何避けてんだよッ！この野郎…！」
寸前のところで急所を避けた瑚絽音は、ナスティーの狂気に満ちた表情に体を強ばらせる。
ナ「チッ…まだそんな元気があったとはな、驚いたぜ。それなら、ちょっと痛め付けてからの方が斬りやすそうだな。」
ナスティーはそう言ったが早いか、血が流れ出ている瑚絽音の左肩を蹴り上げた。
瑚「ぎゃっ！！」
ナ「…安心しろよ、まだ殺さねぇから。」
ガッ！
瑚「っ…！」
今度は背中を強打し、瑚絽音は声にならない悲鳴を上げる。