肩を震わせ俯くナスティーに、亜莉亜は訝しげな視線をおくる。
『何の真似だ。』
ナ「いやぁ、悪いな…あまりにも滑稽だったもんで、どうしても笑いが堪えきれないんだよ…。ククッ…アハハッ…！」
顔を上げたナスティーは、亜莉亜を挑発するように笑う。
『何が可笑しい。』
亜莉亜はしっかりとナスティーの目を見ながら、圧力をかけるような口調で尋ねた。
ナ「気づかないのか、零番隊。この俺が死神に何も対策をうっていない？ぞんな訳無いだろう？結界だよ、結界。外と中の空気を完全に遮断する。」
『なっ…』
だとすればこいつの出現は瀞霊廷には感知されておらず、救援は…来ない。
せめて瑚絽音たちだけでも、と思ったが、どうやら無理そうだ。
ナ「驚いたか？絶望したか？いいなぁ、その表情。俺は…」
『口を慎め、破面。いくら不可能なことでも、私は諦める気はない。』
亜莉亜は闇鬼を握る手に力を込めた。
『もう…誰も犠牲にしたくない。仲間を傷つけたくないんだッ！』
亜莉亜は力強く地面を蹴った。
その瞬間、
『ぅッ…！！』
亜莉亜の周りに赤が散らばった。
それは一瞬の出来事だった。
亜莉亜の視界から姿を消したナスティーが、有無を言わさず亜莉亜の腹部を切り裂いたのだ。
地面に撒かれた鮮血の中に、亜莉亜はがくりと膝をついた。
その体はやがて地面に横たわる。
ナ「面白くねぇ。」
凍てつくような声色でナスティーは呟いた。
『…くそッ…て、め…！』
必死に腕に力を入れ、体を起こそうとする。
しかし努力も空しく、ナスティーの足が亜莉亜を地面に押し付けた。
想像を絶する苦痛に顔を歪める亜莉亜。
ナ「所詮、全ては力なんだよ。弱いヤツには生きる価値がない。」
『ぅあ゛っ…！』
一段と強く体を踏まれ朦朧とする意識を、必死に繋ぎ止める。