ナ「よぉ…もうお仕舞いか？」
馬鹿にするような調子の声に、亜莉亜は悲鳴をあげる体を無理矢理起こした。
『馬鹿、言うな。こんなんで終わりなはず…ないだろう。』
精一杯睨みつけてやるが、正直限界なのは確かだった。
酷使しすぎた体には至る所に傷がついている。
それでも致命傷といえる傷が無いのは、きっと奴に手加減されているからなのだろう。
そう考えれば少々頭にくるが、破面対平隊士以下の戦いと言っても違わないような戦いをしているのは事実で、恐らく奴が本気を出せば私は瞬殺される。
私はきゅっと唇を噛んだ。
ナ「そんなこと言って…本当は辛くて仕方が無ぇんだろ？」
『五月蝿いぞ…』
ナ「ほら、その表情！面白ぇなぁ。最強無敵な零番隊隊長様が苦しんでやがる。…今ならまだ降参すれば助けてやるぞ？あまり女を虐めるのは好きじゃねぇし。ほら、ガキ二人なんか棄てて逃げろよ。」
『五月蝿いって言ってるのが聞こえないのか、破面！私は逃げない、この身がどうなろうとも、決して！！』
悲痛な声で叫べば、ナスティーの顔が不快そうに歪んだ。
ナ「それでもあのガキを護るって？自分はどうなっても良いと？…全く、嫌になるぜ。綺麗事ばっか並べて、現実に気づいていない。空想の中の平和な世界で生きて、目の前の生々しい感情が渦巻く世界を見ようとしない…！憎いな、死神。この手で今すぐに捻り潰してやりたいほど、憎い。あぁ…平和ボケした奴等を、今すぐ血の海に沈めてやりたい。」
視線を宙に浮かべながら語るナスティー。
亜莉亜は目を細めた。
『現実を見ていないのは貴様だ。』
ナ「何だと！？」
唐突に呟けば、過剰な反応を見せるナスティー。
『貴様が現れてから、それなりの時間が経っている。そろそろ貴様を討伐するため選ばれた強者たちが到着するだろう。…もう、お仕舞いだ。』
亜莉亜は勝ったと言うかのように不敵に笑った。
しかし…その余裕は長くは続かなかった。