拓「そんな…。誰が、一体どういう目的で――」
マ「さぁ。そんなことは知らないヨ。」
ぶっきらぼうにマユリは答えた。
冬「…そのコンピューターのセキュリティはどうなってた。」
気まずい空気の中、冬獅郎がマユリに尋ねた。
管理を批判されたと感じたマユリは、一瞬冬獅郎を睨み付けてから言った。
マ「もちろん、厳重にロックをかけてあったヨ。それも、私にしか解除できないほど複雑なネ。」
京「…となると、犯人はそれほどの技術を持ってるわけか。こりゃ、只の熱狂的な亜莉亜ちゃんファンってことじゃなさそうだねぇ。」
京楽は意味深な目でマユリを見た。
マ「フン。」
京「何か犯人の手がかりはないのかい？」
マ「何一つ無かったヨ。指紋の一つどころか、霊子さえも。全く、腹立たしい限りだネ…。」
山「とにかく、現時点での犯人の特定は不可能。しかし、亜莉亜の記録を盗んだ以上犯人が何かしらの事を起こすのは必須。よって全隊長は尸魂界全体に深く注意をはらい、何かあればすぐにわしに報告せよ！！」
元柳斎は厳しい声で言った。

隊首会を終えた拓斗は、つい最近まで自分自身が収容されていた、あの地下監獄に向かった。
目的はもちろん…
拓「先輩、生きてます？」
乃「毎回毎回俺を死人扱いすんじゃねぇよ、我妻の坊主。」
拓「そっちこそ、いい加減俺の名前くらい覚えて下さいよ。」
拓斗はため息をついてから、乃雅の牢の前にどさりと座った。
看守らしき人物が面会を監視するため拓斗の近くに寄るが、拓斗はそれを目で制した。

乃「んで、てめえが俺に何か用か？」
拓「…昨晩、技術開発局に保管されてた亜莉亜のデータが全部まるごと盗まれた。」
乃「はぁ！？」
信じられないというように乃雅は目を丸くした。
乃「技術開発局って…アレだろ？瀞霊廷内屈指の科学者が集まってる、最先端科学技術機関。」
拓「よく知ってるね…。千年前から封印されてたくせに。」
呆れるように拓斗は言う。