第二十三話 ー安堵ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
面会謝絶。
それでも、訪ねてくる者は後を絶たなかった。
零番隊の面々を始め、十三隊の隊長格たち、そして山本総隊長までも。
一護たちも、現世からわざわざ見舞いにと来てくれた。
あれからもう1ヶ月が経つが、亜莉亜はまだ目覚めない。
容態は落ち着いているが、拓斗の不安が和らぐ日は無かった。
面会に来た者たちにも、あのことは伝えていない。
どうするかは亜莉亜次第だと思うから。
それでも軽く今の状態を話し、眠る亜莉亜の傍らで来訪者の相手をするのが、拓斗の日常になりつつあった。
中でも、瑚絽音の話には驚かされた。
男装で霊術院破り同様のことをするとは。
よく想像できず、どうして男装がばれなかったのかと問えば、案外モテていたと若干ずれた回答をもらった。
思わず声が出た。
久しぶりに笑った気がした。
瑚絽音は現在も八番隊でそのまま働いているというが、亜莉亜のことは京楽のはからいで、適当に誤魔化されているらしい。
もしも亜莉亜が元気で零番隊が健在なら、引き入れたい人材なのに、少し残念だと思った。
あとは、零番隊の席官たちも、ちらほらと顔を出しに来る。
現在は隊自体が活動停止とする扱いになっているため、暇をしているだろうが、押し掛けすぎるのもどうかと気を遣ってくれているようだ。
思い思いの差し入れを持ってきてくれるのが、少しの楽しみだったりする。
あるときは菓子、あるときは花、あるときは本、そしてあるとき貰ったルービックキューブには、思わず首をかしげた。
持ち込んだのは、龍だった。
またもやおふざけかと思ったが、無心になる時間も必要かと思ったとの理由で、案外まともに考えているんだなと感慨深かった。
しかし手をつける気分にもなれず、謝って龍に返したところ、喜んで持って帰って行った。
もうそれからしばらく経つが、今までに完成したとの報告は受けていない。
多分これから先も、その報告を受けることはない気がする。
それはさておき、零番隊の処遇、そして王族に、動きは無い。
風兎の言葉が効いたのだろう。
亜莉亜が動くまでは様子見ってところだろうか。
拓「このまま大人しくしてくれたらいいのにね。今まであれだけ頑張ったんだから、しばらくはゆっくり自由に過ごしたいよね」
眠る亜莉亜の手を取る。
美しいながらも、硬いたこだらけだった手のひらは、徐々に柔さを取り戻してきている。
拓「──このまま刀を握らずに、幸せに生きられたらいいのに」
そう上手くはいかないかと、そっと亜莉亜の手を降ろす。
規則正しく膨らむ胸を確認すれば、ほんの少し気分も落ち着く。
拓「あ、さっきもらったお花、生けてくるね」
華恋と江恋がくれたんだよと、独り言を続ける。
二人が選んだ花は、自分達のことを思い浮かべてほしいと、いじらしい理由で選ばれたもの。
白を基調に、小振りの水色と紅色をアクセントにした花束だった。
対照的な色なのに同じ形をした目が、こちらを伺う様子が思い浮かんだ。
どんな花瓶に生けたら映えるだろうかと考える。
シンプルなものが合うだろうか。それとも、少し個性的なものも良いかもしれない。
以前、花をたくさん貰いすぎて、花瓶の無さに困っていたところ、逆に花瓶の差し入れが増えた。というか、増えすぎた。
病室の隅に積み上げた木箱から、花に合いそうな花瓶を選ぶ。
拓「そういえばこの辺に良いのがあったような──。あ」
うっかり崩してしまったバランスに、上に積んでいたいくつかの箱が転げ落ちる。
まずいと思った瞬間、耳を塞ぎたくなる程の、陶器が割れる大きな音。
拓「うわ〜やっちゃった。しかもこれ高いやつだ、朽木家からの。あぁ、こっちも!山じいが温めながら持ってきたやつ。はぁー……」
何て言い訳しようかと頭を抱える。
そもそもこんなに積むべきじゃなかったな。
でも好意でもらった以上、どこかにやるにもいかない。
とりあえずは、割れたものを片付けなくては。
拓「騒がしくしてごめんね」
何気なく亜莉亜に声をかけ、用具を探そうとしたとき、布が擦れる音が耳に入った気がした。
気のせいだろうかと、振り返って病室を見回す。
閉ざされた亜莉亜の瞼がぴくりと動いたように見え、寝台に飛び付いて確認する。
拓「亜莉亜!?」
何度も呼び掛ければ、長いまつげを震わせながらゆっくりと目が開き、やがて、願ってやまなかった青色が見えた。
待ちに待った瞬間なのに、目頭が熱く、視界がぼやけてよく見えない。
割ってしまった花瓶には申し訳ないが、結果オーライってことで。
それでも、訪ねてくる者は後を絶たなかった。
零番隊の面々を始め、十三隊の隊長格たち、そして山本総隊長までも。
一護たちも、現世からわざわざ見舞いにと来てくれた。
あれからもう1ヶ月が経つが、亜莉亜はまだ目覚めない。
容態は落ち着いているが、拓斗の不安が和らぐ日は無かった。
面会に来た者たちにも、あのことは伝えていない。
どうするかは亜莉亜次第だと思うから。
それでも軽く今の状態を話し、眠る亜莉亜の傍らで来訪者の相手をするのが、拓斗の日常になりつつあった。
中でも、瑚絽音の話には驚かされた。
男装で霊術院破り同様のことをするとは。
よく想像できず、どうして男装がばれなかったのかと問えば、案外モテていたと若干ずれた回答をもらった。
思わず声が出た。
久しぶりに笑った気がした。
瑚絽音は現在も八番隊でそのまま働いているというが、亜莉亜のことは京楽のはからいで、適当に誤魔化されているらしい。
もしも亜莉亜が元気で零番隊が健在なら、引き入れたい人材なのに、少し残念だと思った。
あとは、零番隊の席官たちも、ちらほらと顔を出しに来る。
現在は隊自体が活動停止とする扱いになっているため、暇をしているだろうが、押し掛けすぎるのもどうかと気を遣ってくれているようだ。
思い思いの差し入れを持ってきてくれるのが、少しの楽しみだったりする。
あるときは菓子、あるときは花、あるときは本、そしてあるとき貰ったルービックキューブには、思わず首をかしげた。
持ち込んだのは、龍だった。
またもやおふざけかと思ったが、無心になる時間も必要かと思ったとの理由で、案外まともに考えているんだなと感慨深かった。
しかし手をつける気分にもなれず、謝って龍に返したところ、喜んで持って帰って行った。
もうそれからしばらく経つが、今までに完成したとの報告は受けていない。
多分これから先も、その報告を受けることはない気がする。
それはさておき、零番隊の処遇、そして王族に、動きは無い。
風兎の言葉が効いたのだろう。
亜莉亜が動くまでは様子見ってところだろうか。
拓「このまま大人しくしてくれたらいいのにね。今まであれだけ頑張ったんだから、しばらくはゆっくり自由に過ごしたいよね」
眠る亜莉亜の手を取る。
美しいながらも、硬いたこだらけだった手のひらは、徐々に柔さを取り戻してきている。
拓「──このまま刀を握らずに、幸せに生きられたらいいのに」
そう上手くはいかないかと、そっと亜莉亜の手を降ろす。
規則正しく膨らむ胸を確認すれば、ほんの少し気分も落ち着く。
拓「あ、さっきもらったお花、生けてくるね」
華恋と江恋がくれたんだよと、独り言を続ける。
二人が選んだ花は、自分達のことを思い浮かべてほしいと、いじらしい理由で選ばれたもの。
白を基調に、小振りの水色と紅色をアクセントにした花束だった。
対照的な色なのに同じ形をした目が、こちらを伺う様子が思い浮かんだ。
どんな花瓶に生けたら映えるだろうかと考える。
シンプルなものが合うだろうか。それとも、少し個性的なものも良いかもしれない。
以前、花をたくさん貰いすぎて、花瓶の無さに困っていたところ、逆に花瓶の差し入れが増えた。というか、増えすぎた。
病室の隅に積み上げた木箱から、花に合いそうな花瓶を選ぶ。
拓「そういえばこの辺に良いのがあったような──。あ」
うっかり崩してしまったバランスに、上に積んでいたいくつかの箱が転げ落ちる。
まずいと思った瞬間、耳を塞ぎたくなる程の、陶器が割れる大きな音。
拓「うわ〜やっちゃった。しかもこれ高いやつだ、朽木家からの。あぁ、こっちも!山じいが温めながら持ってきたやつ。はぁー……」
何て言い訳しようかと頭を抱える。
そもそもこんなに積むべきじゃなかったな。
でも好意でもらった以上、どこかにやるにもいかない。
とりあえずは、割れたものを片付けなくては。
拓「騒がしくしてごめんね」
何気なく亜莉亜に声をかけ、用具を探そうとしたとき、布が擦れる音が耳に入った気がした。
気のせいだろうかと、振り返って病室を見回す。
閉ざされた亜莉亜の瞼がぴくりと動いたように見え、寝台に飛び付いて確認する。
拓「亜莉亜!?」
何度も呼び掛ければ、長いまつげを震わせながらゆっくりと目が開き、やがて、願ってやまなかった青色が見えた。
待ちに待った瞬間なのに、目頭が熱く、視界がぼやけてよく見えない。
割ってしまった花瓶には申し訳ないが、結果オーライってことで。