第二十三話 ー安堵ー
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何かに追われるようにして目が覚めたのは、日も昇らぬ時間のことだった。
相変わらず身体は重いが、昨日よりは少しだけマシかもしれない。
流石にまだ使用人たちも起きていないのだろう、寝静まった屋敷の中を、そっと進む。
雑に水を浴びれば、その冷たさに頭がすっきりした。
そしてそのまま身支度をして、屋敷を出る。
仕事をする気はないので、適当な着流しを選んだ。
向かうは四番隊、総合救護詰所。
到着する頃には、辺りに薄く朝日が差し込んでいた。
誰に何を言うでもなく館内を歩く拓斗に、隊士の一人が案内を申し出るが、分かっているから大丈夫と断り、進む。
意識せずとも、その霊圧を探してしまうのだから、仕方ない。
迷う様子を見せず進む拓斗の足は、検査室と書かれた部屋の前で止まった。
一呼吸置いて、そっとドアを叩く。
中から聞こえた入室を促す声は、意外なものだった。
拓「どうしてこっちに?」
困ったように微笑む喜助は、少し疲れているように見える。
喜「まぁちょっと色々ありまして」
卯「──私からお話ししましょう」
静かに眠る亜莉亜の側で卯ノ花が、立ち上がって拓斗を呼ぶ。
白い寝台の周りでは、呑気にも瑚絽音が寝息を立てて眠っていた。
拓「──あれだけ無茶した後だもんね」
死んだように眠る亜莉亜を見て、眉をひそめた。
白磁のように白い肌は、生気を感じさせない。
しかし、外傷はもうほとんど無く、霊圧はかなり減ってはいるものの、容態は落ち着いているかのように見えた。
丸椅子をそっと寄せ、近くに腰を下ろす。
拓「それで?」
卯ノ花を見上げれば、少し苦しそうな面持ちでこちらを見ていた。
卯「結論から申し上げると──亜莉亜さんは、魂魄そのものの根幹に傷を負っているような状態です。恐らくはもう、以前のような……」
拓「は……?」
思わず声が漏れる。
喜「ここまでの無茶と消耗は、流石に初めてのことでしょう?普通なら治療をすれば治りますが、彼女の場合は完治できない。そういうレベルのダメージってことっスねぇ……」
喜助はそう言うと、帽子のつばを下げた。
完治できない、その言葉が何度も反響する。
動揺する俺を見越して、卯ノ花は静かに続けた。
卯「どれだけ手当てをしても回復の反応が薄く、技術開発局に依頼して状態を調べてもらいました。幸いにも、療養すれば意識は戻るでしょう。ただ、死神として活動するのは厳しいと思われます」
説明されても、頭が受け付けない。
別に、力が無くなったって、戦えなくたって、生きてくれてさえいれば十分だ。
でも、亜莉亜はきっとそれでは満足しないだろう。
拓「──ちょっと考えたいから、出ててもらえる、かな」
そう絞り出せば、二人は眠りまなこを擦る瑚絽音を連れ、外に出てくれた。
拓「亜莉亜……」
静かに呼吸をする亜莉亜の頭を、そっと撫でる。
さらりと空色の髪が落ちる。
ぴくりともしない瞼に、一層の不安が募った。
これから、どうしたらいいんだろう。
零番隊は?王族は?神影の家は?
亜莉亜は受け入れられるだろうか。
俺は、支えられるだろうか、頼ってもらえるだろうか。
──ひとまずは目を覚ますのを待つことしかできないと、頭を垂れた。
相変わらず身体は重いが、昨日よりは少しだけマシかもしれない。
流石にまだ使用人たちも起きていないのだろう、寝静まった屋敷の中を、そっと進む。
雑に水を浴びれば、その冷たさに頭がすっきりした。
そしてそのまま身支度をして、屋敷を出る。
仕事をする気はないので、適当な着流しを選んだ。
向かうは四番隊、総合救護詰所。
到着する頃には、辺りに薄く朝日が差し込んでいた。
誰に何を言うでもなく館内を歩く拓斗に、隊士の一人が案内を申し出るが、分かっているから大丈夫と断り、進む。
意識せずとも、その霊圧を探してしまうのだから、仕方ない。
迷う様子を見せず進む拓斗の足は、検査室と書かれた部屋の前で止まった。
一呼吸置いて、そっとドアを叩く。
中から聞こえた入室を促す声は、意外なものだった。
拓「どうしてこっちに?」
困ったように微笑む喜助は、少し疲れているように見える。
喜「まぁちょっと色々ありまして」
卯「──私からお話ししましょう」
静かに眠る亜莉亜の側で卯ノ花が、立ち上がって拓斗を呼ぶ。
白い寝台の周りでは、呑気にも瑚絽音が寝息を立てて眠っていた。
拓「──あれだけ無茶した後だもんね」
死んだように眠る亜莉亜を見て、眉をひそめた。
白磁のように白い肌は、生気を感じさせない。
しかし、外傷はもうほとんど無く、霊圧はかなり減ってはいるものの、容態は落ち着いているかのように見えた。
丸椅子をそっと寄せ、近くに腰を下ろす。
拓「それで?」
卯ノ花を見上げれば、少し苦しそうな面持ちでこちらを見ていた。
卯「結論から申し上げると──亜莉亜さんは、魂魄そのものの根幹に傷を負っているような状態です。恐らくはもう、以前のような……」
拓「は……?」
思わず声が漏れる。
喜「ここまでの無茶と消耗は、流石に初めてのことでしょう?普通なら治療をすれば治りますが、彼女の場合は完治できない。そういうレベルのダメージってことっスねぇ……」
喜助はそう言うと、帽子のつばを下げた。
完治できない、その言葉が何度も反響する。
動揺する俺を見越して、卯ノ花は静かに続けた。
卯「どれだけ手当てをしても回復の反応が薄く、技術開発局に依頼して状態を調べてもらいました。幸いにも、療養すれば意識は戻るでしょう。ただ、死神として活動するのは厳しいと思われます」
説明されても、頭が受け付けない。
別に、力が無くなったって、戦えなくたって、生きてくれてさえいれば十分だ。
でも、亜莉亜はきっとそれでは満足しないだろう。
拓「──ちょっと考えたいから、出ててもらえる、かな」
そう絞り出せば、二人は眠りまなこを擦る瑚絽音を連れ、外に出てくれた。
拓「亜莉亜……」
静かに呼吸をする亜莉亜の頭を、そっと撫でる。
さらりと空色の髪が落ちる。
ぴくりともしない瞼に、一層の不安が募った。
これから、どうしたらいいんだろう。
零番隊は?王族は?神影の家は?
亜莉亜は受け入れられるだろうか。
俺は、支えられるだろうか、頼ってもらえるだろうか。
──ひとまずは目を覚ますのを待つことしかできないと、頭を垂れた。