第二十二話 ー結末ー
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『──ッ…ゲホッ』
咳き込む度に、胸元が血で染まっていく。
息をすることすらままならず、冷や汗が流れ落ちる。
もがき苦しむにも力が入らない。
ただ自分の荒い呼吸音が聞こえる。
拓「亜莉亜!しっかり──!」
視界は霞んでよく見えないが、抱き抱えられているようだ。
私を包む腕が震えている。
必死に呼ぶ声が聞こえる。
『──き…は、』
小さく動いた唇に、拓斗がはっとして耳を寄せる。
『傷、は…?』
何とか聞き取れた言葉に、拓斗は顔をくしゃりと歪めた。
拓「人の心配、してる場合じゃないでしょ…!っ…お陰さまで、何ともないよ」
その言葉に安心する。
良かった──
『他のひと、たちも──ゴホッ』
どうしようもない気持ち悪さと、鉄の味が広がる。
拓「亜莉亜!無理に話さないで、お願いだから、今は、身体を休めて…」
拓斗の腕に力が入る。
よく見えないけれど、きっと心配させてしまっている。
拓「──君の無茶のおかげで、被害者は全て生き返ったみたいだよ。何もかも、元通りだ。でも、だからって、こんなの…。いくら君でも無茶苦茶だ」
仕方がなかったんだ、ごめんな。
言葉が出ずに、伝えられないけれど。
杏「たいちょ…」
龍「何で…ッ!傷を治すだけでも、負担が大きいって、教えてくれたじゃんかよ…!こんなことしたら──!」
拓斗の後ろに、よく知った人たちの霊圧を感じる。
苦労をかけてしまった。
情けない隊長で、ごめん。
心配かけて、ごめん。
謝りたいけれど、
でも、今は、すこし、やすませて──
拓「亜莉亜!?」
力無くゆっくり閉じられた青い瞳に、焦って肩を揺らす。
血の気のない顔色に、嫌な考えが離れない。
もし、もしも、そんなことになったら──?
いや、大丈夫、落ち着け、息はしてる。
俺がしっかりしないと。
──まだ、終わってない
拓「クソッ──!」
シャナリと嫌な音。
来ないはずがないと、そう分かってはいた。
それどころではないのに。
「神影亜莉亜は、霊王への反旗を翻したことにつき、重罪。──よもや、忘れたはずはあるまいな」
現れた天からの一行に、辺りは静まり返る。
霊王の側近が告げる。
「罪人は──そこか。丁度良いではないか。引き渡せ」
拓「──この状況で、まだそんな戯言を!」
渡すもんか、絶対に。
この命に代えても。
「はて、戯言と?霊王の決定は絶対である。逆らうのなら、一緒に処罰を受けるか」
殺してやる──
そう言おうとした口を閉じ、何とか自分を落ち着かせる。
拓「──お考え直し下さい。彼女は反乱など起こしておりません」
「よいよい、護廷十三隊に告ぐ。神影亜莉亜を捕らえよ。首だけだも構わぬぞ。あぁ、我妻拓斗も同じく」
無情な命令に、死神たちがざわついている。
──やはり、霊王は、ここで殺す。
斬魄刀に手をかけたが、突然目の前に現れた何者かに、そっと柄を抑えられた。
ぼさぼさの黒髪、誰だ、こいつは。
拓「あんたは──!?」
何者かと問う前に、口元に人差し指を立てられる。
「大丈夫だ、大人しくしてな」
不満はあるが、だからと言って取れる手段もない。
仕方なく、男の行動を見守ることにする。
男は大きく息を吸うと、声を上げた。
「待たれよ!!」
よく響く声に、注目が集まる。
「──薄汚い鼠が我々に何用か。霊王の決定は絶対。何人たりとも口は出せぬ」
霊王の側近が、馬鹿にするかのように答える。
「ハッ!面白いことを仰る。ならば、言わせてもらおう。」
男の余裕は崩れない。
「──神影家現当主に、不当な言いがかりをつけるとは、許しがたき。神影家に代々支えし綴 風兎(ツヅリ カザト)が正式に抗議申し上げる!」
「何故、それを──!」
拓斗を含め、死神たちは訳が分からずどよめいているが、霊王の一行は見るからに動揺している。
風兎はフンと鼻を鳴らし、高らかに続ける。
風「神影家は古より、王族に対をなす家として、その行いを見守り、正してきた、唯一の一族。その家の当主に罪を問うのならば、正式な手順を踏み、公の同意を得よ」
「──ッ」
風兎は王族の反応を見て、満足そうにニヤリと笑った。
そして、胸元から一枚の書状を取り出す。
風「残念ながら、こちらにはこの誓約書が残ってんだ。代々護られてきたこの取り決めを破るってんなら、これを執行するしかねぇよな。もちろん、ただの紙切れじゃないことはお分かりだろうがよ」
「それを、どうして貴様が──!」
霊王の側近は怒りに震えているが、霊王が何かを耳打ちすると、悔しそうに口を閉じた。
「──此度の命は取り止めとし、出直すこととする」
一行が空へ帰っていく。
拓斗は唖然として、それを見ていた。
風「ほら、何ぼさっとしてんだ!お嬢……亜莉亜の手当てを急げ!」
はっとして、四番隊に声をかけ、治療を急かす。
卯ノ花の指示に従い、てきぱきと手当てにあたる四番隊のそばで、拓斗は亜莉亜の手を離さない。
命に別状は無い。
そう言われ、きっと大丈夫と思いながらも、不安は拭いきれない。
でも、やっと、終わったんだ──
もう大丈夫、
ゆっくり休んで。
亜莉亜の手の甲に、労うようにそっと唇を落とした。
咳き込む度に、胸元が血で染まっていく。
息をすることすらままならず、冷や汗が流れ落ちる。
もがき苦しむにも力が入らない。
ただ自分の荒い呼吸音が聞こえる。
拓「亜莉亜!しっかり──!」
視界は霞んでよく見えないが、抱き抱えられているようだ。
私を包む腕が震えている。
必死に呼ぶ声が聞こえる。
『──き…は、』
小さく動いた唇に、拓斗がはっとして耳を寄せる。
『傷、は…?』
何とか聞き取れた言葉に、拓斗は顔をくしゃりと歪めた。
拓「人の心配、してる場合じゃないでしょ…!っ…お陰さまで、何ともないよ」
その言葉に安心する。
良かった──
『他のひと、たちも──ゴホッ』
どうしようもない気持ち悪さと、鉄の味が広がる。
拓「亜莉亜!無理に話さないで、お願いだから、今は、身体を休めて…」
拓斗の腕に力が入る。
よく見えないけれど、きっと心配させてしまっている。
拓「──君の無茶のおかげで、被害者は全て生き返ったみたいだよ。何もかも、元通りだ。でも、だからって、こんなの…。いくら君でも無茶苦茶だ」
仕方がなかったんだ、ごめんな。
言葉が出ずに、伝えられないけれど。
杏「たいちょ…」
龍「何で…ッ!傷を治すだけでも、負担が大きいって、教えてくれたじゃんかよ…!こんなことしたら──!」
拓斗の後ろに、よく知った人たちの霊圧を感じる。
苦労をかけてしまった。
情けない隊長で、ごめん。
心配かけて、ごめん。
謝りたいけれど、
でも、今は、すこし、やすませて──
拓「亜莉亜!?」
力無くゆっくり閉じられた青い瞳に、焦って肩を揺らす。
血の気のない顔色に、嫌な考えが離れない。
もし、もしも、そんなことになったら──?
いや、大丈夫、落ち着け、息はしてる。
俺がしっかりしないと。
──まだ、終わってない
拓「クソッ──!」
シャナリと嫌な音。
来ないはずがないと、そう分かってはいた。
それどころではないのに。
「神影亜莉亜は、霊王への反旗を翻したことにつき、重罪。──よもや、忘れたはずはあるまいな」
現れた天からの一行に、辺りは静まり返る。
霊王の側近が告げる。
「罪人は──そこか。丁度良いではないか。引き渡せ」
拓「──この状況で、まだそんな戯言を!」
渡すもんか、絶対に。
この命に代えても。
「はて、戯言と?霊王の決定は絶対である。逆らうのなら、一緒に処罰を受けるか」
殺してやる──
そう言おうとした口を閉じ、何とか自分を落ち着かせる。
拓「──お考え直し下さい。彼女は反乱など起こしておりません」
「よいよい、護廷十三隊に告ぐ。神影亜莉亜を捕らえよ。首だけだも構わぬぞ。あぁ、我妻拓斗も同じく」
無情な命令に、死神たちがざわついている。
──やはり、霊王は、ここで殺す。
斬魄刀に手をかけたが、突然目の前に現れた何者かに、そっと柄を抑えられた。
ぼさぼさの黒髪、誰だ、こいつは。
拓「あんたは──!?」
何者かと問う前に、口元に人差し指を立てられる。
「大丈夫だ、大人しくしてな」
不満はあるが、だからと言って取れる手段もない。
仕方なく、男の行動を見守ることにする。
男は大きく息を吸うと、声を上げた。
「待たれよ!!」
よく響く声に、注目が集まる。
「──薄汚い鼠が我々に何用か。霊王の決定は絶対。何人たりとも口は出せぬ」
霊王の側近が、馬鹿にするかのように答える。
「ハッ!面白いことを仰る。ならば、言わせてもらおう。」
男の余裕は崩れない。
「──神影家現当主に、不当な言いがかりをつけるとは、許しがたき。神影家に代々支えし綴 風兎(ツヅリ カザト)が正式に抗議申し上げる!」
「何故、それを──!」
拓斗を含め、死神たちは訳が分からずどよめいているが、霊王の一行は見るからに動揺している。
風兎はフンと鼻を鳴らし、高らかに続ける。
風「神影家は古より、王族に対をなす家として、その行いを見守り、正してきた、唯一の一族。その家の当主に罪を問うのならば、正式な手順を踏み、公の同意を得よ」
「──ッ」
風兎は王族の反応を見て、満足そうにニヤリと笑った。
そして、胸元から一枚の書状を取り出す。
風「残念ながら、こちらにはこの誓約書が残ってんだ。代々護られてきたこの取り決めを破るってんなら、これを執行するしかねぇよな。もちろん、ただの紙切れじゃないことはお分かりだろうがよ」
「それを、どうして貴様が──!」
霊王の側近は怒りに震えているが、霊王が何かを耳打ちすると、悔しそうに口を閉じた。
「──此度の命は取り止めとし、出直すこととする」
一行が空へ帰っていく。
拓斗は唖然として、それを見ていた。
風「ほら、何ぼさっとしてんだ!お嬢……亜莉亜の手当てを急げ!」
はっとして、四番隊に声をかけ、治療を急かす。
卯ノ花の指示に従い、てきぱきと手当てにあたる四番隊のそばで、拓斗は亜莉亜の手を離さない。
命に別状は無い。
そう言われ、きっと大丈夫と思いながらも、不安は拭いきれない。
でも、やっと、終わったんだ──
もう大丈夫、
ゆっくり休んで。
亜莉亜の手の甲に、労うようにそっと唇を落とした。