第二十二話 ー結末ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結界がボロボロと崩れていく。
亜莉亜はそれを他人事のように眺める。
全てが終わったと、張りつめた精神がほどけていき、小さく息をついた。
辺りを見回すと、瀞霊廷内のあちこちから煙が上がっている。
あの教祖や破面が引き寄せた虚たちが暴れたのだろう。
きっとたくさんの人が命を落とした。
私の存在が起こした事だ。
無意識に唇を噛んでいた。
──私がいなければ、こんなことにはならなかった。
あんな化物を作ることはできず、誰にも止められない力を持たせることはできなかった。
──私がいなければ、王族に目を付けられることもなかった。
零番隊の仲間たちを危険に晒すこともなかった。
皆優秀なのだから、他の隊できっと活躍していたはず。
──私がいなければ、拓斗にこんな苦労をかけることも、傷付けることも無かった。
拓斗が隊長だったなら、もっとうまく立ち回れていただろう。
──私がいなければ、私がいたから、私が、私が。
『私もまた、裁かれなくては』
駆け寄ろうとしている零番隊の姿が目に映る。
亜莉亜の醸し出す異様な雰囲気に、戸惑いの色を浮かべて。
ごめん──
小さく呟いて、痛々しく微笑んだ。
呼んでいる声が遠く感じる。
亜莉亜は腰に据えられた闇鬼に手をかけた。
心の中で謝れば、諦めた様子の闇鬼が亜莉亜を労う。
『うん、力を、貸してくれ。私が私を許せるように』
ゆるりと鞘から引き抜かれる闇鬼を、月明かりが見守っている。
『──頼む』
ドンと膨れ上がる霊圧に、悲鳴が上がる。
それでも亜莉亜はやめない。
荒れる風の中、亜莉亜は真っ直ぐに構え、口を開いた。
『── 消 せ 、 闇 鬼 ──』
瀞霊廷全土に黒いもやが勢いよく広がる。
混乱、戸惑い、恐怖、声が聞こえる。
よく知った声が、呼ぶ。
そのどれもが遠い。
激しい霊圧の消耗を感じながら、自分を鼓舞する。
もう少し、もう少し、足りないのなら、私の命を使ってくれていいから──
『全て、戻す…。頼む、闇鬼──ッ!』
叫ぶように願えば、もやが激しく音を立てる。
立っていられないほどの爆風、鳴り狂う霊圧に、亜莉亜は目を細めた。
自分の身体が保てないような、揺れる感覚。
あちこちが切れて、力が抜けていく。
──やがて風が止み、再び静寂が訪れる。
恐る恐る辺りの様子を確認する死神たちに、驚きの声が上がる。
偽物の亜莉亜や教主、破面によって傷つけられた命は、その事実を消され、何事もなかったかのように地に足を付けていた。
壊された建物も、全くの元通り。
信じられないと騒ぎながらも、尊い命が戻ったことを喜んでいる。
偽物との戦いで重症を負った拓斗も同じだった。
全ての傷が、無かったかのように消えた。
拓「何て、こと──」
歓喜に沸く声の中で、拓斗は青ざめた。
動くようになった身体を動かし、亜莉亜の元へと必死に駆け寄る。
背を向ける亜莉亜の表情は読めない。
しかし、強く握られていたはずの闇鬼が、その手をすり抜けて地面に落ちる。
苦しそうに震えた背中が、激しく咳き込んで、力無く崩れ落ちる──
拓「亜莉亜ッ!!」
ギリギリで受け止めたその身体は、驚くほどに軽かった。
亜莉亜はそれを他人事のように眺める。
全てが終わったと、張りつめた精神がほどけていき、小さく息をついた。
辺りを見回すと、瀞霊廷内のあちこちから煙が上がっている。
あの教祖や破面が引き寄せた虚たちが暴れたのだろう。
きっとたくさんの人が命を落とした。
私の存在が起こした事だ。
無意識に唇を噛んでいた。
──私がいなければ、こんなことにはならなかった。
あんな化物を作ることはできず、誰にも止められない力を持たせることはできなかった。
──私がいなければ、王族に目を付けられることもなかった。
零番隊の仲間たちを危険に晒すこともなかった。
皆優秀なのだから、他の隊できっと活躍していたはず。
──私がいなければ、拓斗にこんな苦労をかけることも、傷付けることも無かった。
拓斗が隊長だったなら、もっとうまく立ち回れていただろう。
──私がいなければ、私がいたから、私が、私が。
『私もまた、裁かれなくては』
駆け寄ろうとしている零番隊の姿が目に映る。
亜莉亜の醸し出す異様な雰囲気に、戸惑いの色を浮かべて。
ごめん──
小さく呟いて、痛々しく微笑んだ。
呼んでいる声が遠く感じる。
亜莉亜は腰に据えられた闇鬼に手をかけた。
心の中で謝れば、諦めた様子の闇鬼が亜莉亜を労う。
『うん、力を、貸してくれ。私が私を許せるように』
ゆるりと鞘から引き抜かれる闇鬼を、月明かりが見守っている。
『──頼む』
ドンと膨れ上がる霊圧に、悲鳴が上がる。
それでも亜莉亜はやめない。
荒れる風の中、亜莉亜は真っ直ぐに構え、口を開いた。
『── 消 せ 、 闇 鬼 ──』
瀞霊廷全土に黒いもやが勢いよく広がる。
混乱、戸惑い、恐怖、声が聞こえる。
よく知った声が、呼ぶ。
そのどれもが遠い。
激しい霊圧の消耗を感じながら、自分を鼓舞する。
もう少し、もう少し、足りないのなら、私の命を使ってくれていいから──
『全て、戻す…。頼む、闇鬼──ッ!』
叫ぶように願えば、もやが激しく音を立てる。
立っていられないほどの爆風、鳴り狂う霊圧に、亜莉亜は目を細めた。
自分の身体が保てないような、揺れる感覚。
あちこちが切れて、力が抜けていく。
──やがて風が止み、再び静寂が訪れる。
恐る恐る辺りの様子を確認する死神たちに、驚きの声が上がる。
偽物の亜莉亜や教主、破面によって傷つけられた命は、その事実を消され、何事もなかったかのように地に足を付けていた。
壊された建物も、全くの元通り。
信じられないと騒ぎながらも、尊い命が戻ったことを喜んでいる。
偽物との戦いで重症を負った拓斗も同じだった。
全ての傷が、無かったかのように消えた。
拓「何て、こと──」
歓喜に沸く声の中で、拓斗は青ざめた。
動くようになった身体を動かし、亜莉亜の元へと必死に駆け寄る。
背を向ける亜莉亜の表情は読めない。
しかし、強く握られていたはずの闇鬼が、その手をすり抜けて地面に落ちる。
苦しそうに震えた背中が、激しく咳き込んで、力無く崩れ落ちる──
拓「亜莉亜ッ!!」
ギリギリで受け止めたその身体は、驚くほどに軽かった。