第二十二話 ー結末ー
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亜莉亜は男と目線を合わせて、口を開いた。
『やんごとなきお方、とでも言うのか?』
男「!?……そう、そうだ!そのお方の指示に従えと脅されたから、私は仕方なく、このようなことに手を染めてしまっただけであって!哀れなただの研究者なのだ!私に罪はない!どうか慈悲を──!」
男はここぞとばかりに、亜莉亜にすがりついた。
亜莉亜の表情が緩み、男は安堵した。
『そうか、じゃあ、雇い主を恨むんだな』
男の胴から赤が吹き出した。
あっという間に白衣が染まってゆく。
もがき苦しむ男を、邪魔だというように蹴飛ばした。
その様子に、外の死神たちから小さな悲鳴が上がった。
亜莉亜の表情からは何の感情も読み取れない。
「──貴様ッ!」
対する偽物は、怒りをあらわに、闇鬼を握る。
『こいつのせいで、何人もの人が、仲間が、傷つけられた。同情の余地は無い。──お前も同じだ』
月明かりの中、青い瞳に不気味な光が差す。
亜莉亜はぐるりと槍を回すと、槍の柄で地を打った。
トン──
『最初に殺したのは三番隊の隊士2名だったな』
だから何だと反論しようとした偽物の口から出たのは、気の抜けた声だった。
「え…?」
左腕が不自然にぶら下がっている。
その戸惑いをよそに、亜莉亜の槍先が迫る。
偽物は仕方なく片腕で応戦する。
「何を…した──!」
『──罰を与えられている、とは思わないか?』
亜莉亜は涼しげに答える。
『いつまで卍解を保てるか』
偽物は悔しそうに刀を振るうが、亜莉亜の余裕は崩せない。
『次に殺したのは零番隊含む数名の隊士だったか?』
「!」
亜莉亜の槍が再び地面を打つ。
トン──
警戒する偽物から声にならない悲鳴が上がる。
「〜〜ッ!?…これは、こんな、力、」
『右目がどうかしたか?』
冷たい声と共に、偽物の右側から攻撃を仕掛ければ、偽物はうまく防ぎきれずによろめいた。
「ち、違うんだ!私は、お前の、お前が思っていることを」
『聞き飽きたな、どいつもこいつも似たようなことをぬかす』
亜莉亜の鋭い一撃はだらりと垂れた左腕を斬り落とした。
血液が宙を舞う。
『それから更に数十名の殺害──何の罪もない人たちを、何故…っ』
怒りの籠った声が僅かに震えている。
美しい槍の大きな舞が止まり、柄が地面を叩く。
トン──
「やめ…ッ」
ガクンと膝が落ち、右足に力が入らないことに偽物は気付いた。
悔しそうに亜莉亜を睨み、なお刀を構え続けている。
「お前は分かるだろう!?この悔しさが、やるせない苦しみが!いっそ全てが無くなってしまえば──!」
うるさいとばかりに、亜莉亜の槍が偽物の目前を過ぎる。
紙一重でかわしたものの、偽物の頬に赤い筋ができた。
『そして今日も。貴様は一体、何人の命を奪えば気が済む──!』
トン──
「かはッ…!?」
偽物は己の口から吹き出した血液を、絶望した青い目に捉えた。
視線を上げた先の、姿形が同じ死神が、畏怖の対象となった。
身体のせいか、恐怖のせいか。
もう、動けない──
「私は、わたし、は……私が思う、ように、怒りを、ぶつけた、だけ、なのに……どう、して」
亜莉亜は静かに歩を進める。
『どんなに苦しくても!どんなに悔しくても!私が、拓斗を傷付ける訳がッ……無い、だろう!!』
トン──
柄が地面を殴りつけると同時に、偽物の持つ闇鬼からもやが吹き出した。
「……ぁ、待っ」
黒いもやが亜莉亜の腰に添えられた本当の闇鬼に帰って行く。
偽物が震える手をのばすが、意味を持たない。
そして、空っぽになった偽物の斬魄刀が、虚しく転がった。
『人から奪ったものでしか戦えない奴には過ぎた力。──返してもらう』
亜莉亜はそう言うと、始解を解いた。
辺りの霊圧が下がり、風が止む。
外の死神たちが事の行く末を、固唾を飲んで見ているのを感じた。
項垂れる偽物の前に亜莉亜が立つ。
『大人しく、死んでくれ』
刀の形に戻った白刑を、偽物の首筋に沿わせる。
「──忘れるな」
小さな声に、亜莉亜はピクリと止まる。
「私はお前。いつかはきっとこうなる時が来る」
刃が首に食い込むのも厭わず、上げたその顔には、ニヤリと笑う口、私と同じ目──
『──』
亜莉亜が勢いよく刀を引き、赤色が吹き出す。
耳を塞ぎたくなる鈍い音、沈黙。
亜莉亜は目を逸らすと、白刑から血を払い、鞘に収めた。
『やんごとなきお方、とでも言うのか?』
男「!?……そう、そうだ!そのお方の指示に従えと脅されたから、私は仕方なく、このようなことに手を染めてしまっただけであって!哀れなただの研究者なのだ!私に罪はない!どうか慈悲を──!」
男はここぞとばかりに、亜莉亜にすがりついた。
亜莉亜の表情が緩み、男は安堵した。
『そうか、じゃあ、雇い主を恨むんだな』
男の胴から赤が吹き出した。
あっという間に白衣が染まってゆく。
もがき苦しむ男を、邪魔だというように蹴飛ばした。
その様子に、外の死神たちから小さな悲鳴が上がった。
亜莉亜の表情からは何の感情も読み取れない。
「──貴様ッ!」
対する偽物は、怒りをあらわに、闇鬼を握る。
『こいつのせいで、何人もの人が、仲間が、傷つけられた。同情の余地は無い。──お前も同じだ』
月明かりの中、青い瞳に不気味な光が差す。
亜莉亜はぐるりと槍を回すと、槍の柄で地を打った。
トン──
『最初に殺したのは三番隊の隊士2名だったな』
だから何だと反論しようとした偽物の口から出たのは、気の抜けた声だった。
「え…?」
左腕が不自然にぶら下がっている。
その戸惑いをよそに、亜莉亜の槍先が迫る。
偽物は仕方なく片腕で応戦する。
「何を…した──!」
『──罰を与えられている、とは思わないか?』
亜莉亜は涼しげに答える。
『いつまで卍解を保てるか』
偽物は悔しそうに刀を振るうが、亜莉亜の余裕は崩せない。
『次に殺したのは零番隊含む数名の隊士だったか?』
「!」
亜莉亜の槍が再び地面を打つ。
トン──
警戒する偽物から声にならない悲鳴が上がる。
「〜〜ッ!?…これは、こんな、力、」
『右目がどうかしたか?』
冷たい声と共に、偽物の右側から攻撃を仕掛ければ、偽物はうまく防ぎきれずによろめいた。
「ち、違うんだ!私は、お前の、お前が思っていることを」
『聞き飽きたな、どいつもこいつも似たようなことをぬかす』
亜莉亜の鋭い一撃はだらりと垂れた左腕を斬り落とした。
血液が宙を舞う。
『それから更に数十名の殺害──何の罪もない人たちを、何故…っ』
怒りの籠った声が僅かに震えている。
美しい槍の大きな舞が止まり、柄が地面を叩く。
トン──
「やめ…ッ」
ガクンと膝が落ち、右足に力が入らないことに偽物は気付いた。
悔しそうに亜莉亜を睨み、なお刀を構え続けている。
「お前は分かるだろう!?この悔しさが、やるせない苦しみが!いっそ全てが無くなってしまえば──!」
うるさいとばかりに、亜莉亜の槍が偽物の目前を過ぎる。
紙一重でかわしたものの、偽物の頬に赤い筋ができた。
『そして今日も。貴様は一体、何人の命を奪えば気が済む──!』
トン──
「かはッ…!?」
偽物は己の口から吹き出した血液を、絶望した青い目に捉えた。
視線を上げた先の、姿形が同じ死神が、畏怖の対象となった。
身体のせいか、恐怖のせいか。
もう、動けない──
「私は、わたし、は……私が思う、ように、怒りを、ぶつけた、だけ、なのに……どう、して」
亜莉亜は静かに歩を進める。
『どんなに苦しくても!どんなに悔しくても!私が、拓斗を傷付ける訳がッ……無い、だろう!!』
トン──
柄が地面を殴りつけると同時に、偽物の持つ闇鬼からもやが吹き出した。
「……ぁ、待っ」
黒いもやが亜莉亜の腰に添えられた本当の闇鬼に帰って行く。
偽物が震える手をのばすが、意味を持たない。
そして、空っぽになった偽物の斬魄刀が、虚しく転がった。
『人から奪ったものでしか戦えない奴には過ぎた力。──返してもらう』
亜莉亜はそう言うと、始解を解いた。
辺りの霊圧が下がり、風が止む。
外の死神たちが事の行く末を、固唾を飲んで見ているのを感じた。
項垂れる偽物の前に亜莉亜が立つ。
『大人しく、死んでくれ』
刀の形に戻った白刑を、偽物の首筋に沿わせる。
「──忘れるな」
小さな声に、亜莉亜はピクリと止まる。
「私はお前。いつかはきっとこうなる時が来る」
刃が首に食い込むのも厭わず、上げたその顔には、ニヤリと笑う口、私と同じ目──
『──』
亜莉亜が勢いよく刀を引き、赤色が吹き出す。
耳を塞ぎたくなる鈍い音、沈黙。
亜莉亜は目を逸らすと、白刑から血を払い、鞘に収めた。