亜莉亜は王族に反抗したことがあった。
それも、一度や二度ではない。
それは護廷十三隊の誰もが知っていることだ。
しかし、亜莉亜は霊王に反旗を翻そうとなどは、少しも考えていなかった。
それは明らかだった。
そんな中での、突然の処刑宣告。
護廷の隊長たちは納得できずにいた。
特に、亜莉亜を我が子のようにいつくしみ、成長を見守ってきた山本元柳斎、京楽春水、浮竹十四朗、卯ノ花烈らは。
彼らに、亜莉亜を捕獲し処刑することはできそうもなかった。
しかし、隊長という立場上、勝手な行動は許されない。
それゆえの結論が、"極力、互いの隊で連携をとり、亜莉亜が逃げる時間をかせぐ"というものだった。
十三隊もある隊が互いの行動を合わせるとなると、かなりの時間がかかる。
その時間に少しでも遠くに逃げてくれれば…隊長たちのそんな願いがこもっていた。
それに、この方法であれば王族には"より慎重に捜索をするため"と説明できる。
今の護廷十三隊にできる最善の手だった。
乱「でも、隊長たちの意見が一致するって、本当に珍しいですよね。」
冬「まぁな。…しかし、神影の無罪は、誰もが知っている事実。反逆者扱いされてようと、なかろうと、素直に捕まえることはできねぇ。…少なくとも、俺はそう思ってる。」
そう言って、冬獅郎はため息をついた。
"神影と殺り合えなくなるのは困るからなァ。仕方ねえ。"だ、"勝手に死なれては困るんだヨ。彼女を解剖して研究しつくすまではネ。"だとか、神影が可哀想になるような事を言っている奴もいたが、とりあえず方針が固まったのは良いことだ。
しかし、これからどうするべきか。
捜索が遅くなりすぎれば、隊士たちの中にも疑問を持つ奴が出てくるだろうし、もし事実が王族の耳に入れば、俺たち隊長格の首がとぶことだってあり得る。