第二十一話 ー差ー
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「逃げるなよ、あんたの斬魄刀だろ?」
低く、おぞましく、偽者は言う。
『……敵にしてみると、厄介な、ものだ、な』
刃のように襲い掛かる闇鬼のもやを、亜莉亜はギリギリで避けていく。
はたから見れば亜莉亜の方が劣勢だが、当の亜莉亜の表情は涼しい。
『しかし、甘い』
「分かってるじゃないか」
ヒュッ──!
風を切る音がして、今までの攻撃とは比べ物にならないほどの速さで、もやが襲い掛かる。
『ッ──』
避けきれずに、黒い刃が亜莉亜の右腕を裂いた。
言葉にならない声をあげ、亜莉亜は後退する。
外で見ている死神たちがどよめく。
「右腕に力が入っていない。ここにくる前に怪我でもしたんだろう?動きが鈍くて、狙って欲しいと言っているかのようだ。馬鹿にするなよ、そうさ、いくら模造品でも、私は”神影亜莉亜”なんだから」
『さすが私、とでも言って欲しいのか?』
憎らしそうに亜莉亜は言う。
「ほら、さっさと死ねよ」
動きを静めていたもやが活動を再開する。
亜莉亜は厳しい表情でそれを避ける。
『(面倒だな……)』
心の中で考える。
闇鬼は主に、広範囲攻撃に向いた斬魄刀である。
しかし、だからといって近距離での接近戦が不得意なわけではない。
直接攻撃は勿論のこと、使用者のコントロールで、近距離の敵に大しても非常に有効な攻撃ができる。
更に、攻撃に使われる基本形態は「黒いもや」。
これは攻撃形態に限界が無いことを示し、使い方によっては敵を360度全方位から攻撃することができる。
通常の広範囲型の攻撃であれば、空中に逃げれば、ある程度の回避が可能になる。
だが、もやが移動できる範囲には限界が無い。
空中に逃げれば、敵の足元からの攻撃も可能となり──結局は不利になる。
そう考えていけば、闇鬼の形態は千本桜と非常に似通っている。
この型の斬魄刀は自分を傷付けることがないように、いずれかの範囲が無傷圏となるはずだ。
しかし──
「ははっ……反撃できないのか?情けないぞ!」
黒いもやから発生した刃が、偽の亜莉亜へと向く……が、それは持ち主に触れる寸前で消えて無くなった。
そう、闇鬼に、無傷圏は殆ど存在しない。
つまり、ゼロ距離であっても、闇鬼の効力が続く限り、攻撃は届かない。
なら、傷を負わせるためにどうすればよいか。
私はその答えを知っている。
キィン──!
黒いもやが動きを止め、散り散りになり、消えていく。
『調子に乗るなよ』
亜莉亜は偽者の刀を、力で圧す。
霊圧を纏わせ、重く鋭くなった斬魄刀で。
「……ッ癪にさわる!」
偽者は顔を歪ませ退くが、亜莉亜はすぐに背後を取り、斬魄刀を振りかざす。
『闇鬼の弱点、それはもやを使った攻撃の発動には時間がかかること』
偽者は斬魄刀で、瞬時に攻撃を受け止める。
『攻撃対象の把握、攻撃位置の正確な決定、もやを動かす指令──強い集中が必要とされる』
亜莉亜は偽者に考える暇を与えずに、次の攻撃に入る。
その一連の動作は流れるようで、隙が無い。
『どうだ、至近距離で攻撃され続けると、能力を使う暇が無いだろう?』
亜莉亜の蹴りを腹部に受け、偽者は吹き飛ばされる。
その姿を見て、一息つきながらも、亜莉亜は偽者から視線をそらさない。
『(少し息が上がってきたな……流石に、自分の相手をするのは簡単じゃない)』
倒れていた偽者がゆったりと起き上がり、手に持った闇鬼をじっと見つめる。
視線が偽者の動きに集中する。
やがて偽者は顔を上げ、不気味なほどに口角をあげた。
「私には力がある。誰もを屈服させられる力……。役立たず共は、私が支配する……この力で、全部、全部…… 消 し て や る 」
黒い霊圧が一気に強まり、辺りの砂粒がサラサラと消え始めた。
まさか、と亜莉亜は考える。
離れた場所から見ているはずの死神たちから悲鳴が上がる。
霊圧の高さに、気を失う者が出始めたらしい。
『──断空』
先程破ってしまった拓斗の断空を、綺麗に塞ぐ。
偽者が何をする気なのか、亜莉亜はうっすらと悟っていた。
自らが持つ白い斬魄刀の柄に、僅かに力をこめる。
「ちゃんと見てろよ、神影亜莉亜。これが、あんたが完成させられなかった卍解だ──!」
爆発音と同時に、断空で囲まれた空間に激しい風が吹き荒れる。
霊圧がバチバチと鳴り狂い、その場に存在するもの全てを食らおうとする。
亜莉亜は一歩も動かないまま、目を細めた。
「卍解──紅麗天狂闇鬼。さあ、圧倒的な力にひれ伏せ」
低く、おぞましく、偽者は言う。
『……敵にしてみると、厄介な、ものだ、な』
刃のように襲い掛かる闇鬼のもやを、亜莉亜はギリギリで避けていく。
はたから見れば亜莉亜の方が劣勢だが、当の亜莉亜の表情は涼しい。
『しかし、甘い』
「分かってるじゃないか」
ヒュッ──!
風を切る音がして、今までの攻撃とは比べ物にならないほどの速さで、もやが襲い掛かる。
『ッ──』
避けきれずに、黒い刃が亜莉亜の右腕を裂いた。
言葉にならない声をあげ、亜莉亜は後退する。
外で見ている死神たちがどよめく。
「右腕に力が入っていない。ここにくる前に怪我でもしたんだろう?動きが鈍くて、狙って欲しいと言っているかのようだ。馬鹿にするなよ、そうさ、いくら模造品でも、私は”神影亜莉亜”なんだから」
『さすが私、とでも言って欲しいのか?』
憎らしそうに亜莉亜は言う。
「ほら、さっさと死ねよ」
動きを静めていたもやが活動を再開する。
亜莉亜は厳しい表情でそれを避ける。
『(面倒だな……)』
心の中で考える。
闇鬼は主に、広範囲攻撃に向いた斬魄刀である。
しかし、だからといって近距離での接近戦が不得意なわけではない。
直接攻撃は勿論のこと、使用者のコントロールで、近距離の敵に大しても非常に有効な攻撃ができる。
更に、攻撃に使われる基本形態は「黒いもや」。
これは攻撃形態に限界が無いことを示し、使い方によっては敵を360度全方位から攻撃することができる。
通常の広範囲型の攻撃であれば、空中に逃げれば、ある程度の回避が可能になる。
だが、もやが移動できる範囲には限界が無い。
空中に逃げれば、敵の足元からの攻撃も可能となり──結局は不利になる。
そう考えていけば、闇鬼の形態は千本桜と非常に似通っている。
この型の斬魄刀は自分を傷付けることがないように、いずれかの範囲が無傷圏となるはずだ。
しかし──
「ははっ……反撃できないのか?情けないぞ!」
黒いもやから発生した刃が、偽の亜莉亜へと向く……が、それは持ち主に触れる寸前で消えて無くなった。
そう、闇鬼に、無傷圏は殆ど存在しない。
つまり、ゼロ距離であっても、闇鬼の効力が続く限り、攻撃は届かない。
なら、傷を負わせるためにどうすればよいか。
私はその答えを知っている。
キィン──!
黒いもやが動きを止め、散り散りになり、消えていく。
『調子に乗るなよ』
亜莉亜は偽者の刀を、力で圧す。
霊圧を纏わせ、重く鋭くなった斬魄刀で。
「……ッ癪にさわる!」
偽者は顔を歪ませ退くが、亜莉亜はすぐに背後を取り、斬魄刀を振りかざす。
『闇鬼の弱点、それはもやを使った攻撃の発動には時間がかかること』
偽者は斬魄刀で、瞬時に攻撃を受け止める。
『攻撃対象の把握、攻撃位置の正確な決定、もやを動かす指令──強い集中が必要とされる』
亜莉亜は偽者に考える暇を与えずに、次の攻撃に入る。
その一連の動作は流れるようで、隙が無い。
『どうだ、至近距離で攻撃され続けると、能力を使う暇が無いだろう?』
亜莉亜の蹴りを腹部に受け、偽者は吹き飛ばされる。
その姿を見て、一息つきながらも、亜莉亜は偽者から視線をそらさない。
『(少し息が上がってきたな……流石に、自分の相手をするのは簡単じゃない)』
倒れていた偽者がゆったりと起き上がり、手に持った闇鬼をじっと見つめる。
視線が偽者の動きに集中する。
やがて偽者は顔を上げ、不気味なほどに口角をあげた。
「私には力がある。誰もを屈服させられる力……。役立たず共は、私が支配する……この力で、全部、全部…… 消 し て や る 」
黒い霊圧が一気に強まり、辺りの砂粒がサラサラと消え始めた。
まさか、と亜莉亜は考える。
離れた場所から見ているはずの死神たちから悲鳴が上がる。
霊圧の高さに、気を失う者が出始めたらしい。
『──断空』
先程破ってしまった拓斗の断空を、綺麗に塞ぐ。
偽者が何をする気なのか、亜莉亜はうっすらと悟っていた。
自らが持つ白い斬魄刀の柄に、僅かに力をこめる。
「ちゃんと見てろよ、神影亜莉亜。これが、あんたが完成させられなかった卍解だ──!」
爆発音と同時に、断空で囲まれた空間に激しい風が吹き荒れる。
霊圧がバチバチと鳴り狂い、その場に存在するもの全てを食らおうとする。
亜莉亜は一歩も動かないまま、目を細めた。
「卍解──紅麗天狂闇鬼。さあ、圧倒的な力にひれ伏せ」