第二十一話 ー差ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「消せ、消せ、消せ、消せ、消せ──ッ!それが私の、教主様の、願い!神影亜莉亜は、存在してはいけない!二人もいらない!」
狂ったように叫ぶ。
「ふははっ……! 消せ、闇鬼──!!」
かすれた、しかしよく響く重たい声が、空気を変える。
『なっ!?』
黒いもやがあっという間に亜莉亜たちを取り囲む。
亜莉亜には、これが作り物たとは到底思えなかった。
もやが触れた肌がピリピリと痛み、はっとして霊圧で体を保護する。
『拓斗!お前はこの結界から出てろ!』
拓「……できない」
黒いもやがうねる。
獲物に狙いを定めるかのような息遣いを感じ、亜莉亜は顔を強ばらせた。
『早く!』
拓「……嫌だよ……もう見ているだけなんて、そんなの……」
拓斗がそう言いかけたとき、闇鬼のもやがキリキリと音を立てた。
際限なく霊圧高まっていく。
「消えてしまえ……!お前ら二人とも!目障りだッ!」
黒い斬魄刀が不気味に光り、亜莉亜は咄嗟に左腕を上げ、手のひらを敵に向ける。
「叩き潰せ!!」
『闐嵐!!』
二人の亜莉亜が同時に叫ぶ。
収縮した黒いもやが亜莉亜に襲いかかり、亜莉亜の放った竜巻が黒いそれとぶつかり粉砕する。
辺りが一瞬にして砂埃に包まれた。
視界が悪い状態でも、亜莉亜は緊張を解かない。
『鉄砂の壁 僧形の塔 灼鉄熒熒 湛然として終に音無し
──縛道の七十五 五柱鉄貫』
亜莉亜が詠唱した途端、五つの輝く柱が現れ、偽の亜莉亜がいるであろう方向に飛んでいく。
『……少しは時間稼ぎになるだろ。ほら、拓斗』
亜莉亜は拓斗に手を差し伸べた。
『心配するな、私はもう昔の私じゃない』
ふわりと微笑むと、拓斗はしぶしぶと亜莉亜の手をとった。
亜莉亜はしっかりと手をつかみ、傷だらけの拓斗を立たせ、そして断空で作られた結界の外にそっと誘導した。
拓「亜莉亜、俺は──」
『詳しい話は後でゆっくり聞かせてもらう。お前は手当して、休んでろ。あとは私に任せてくれ』
亜莉亜は死覇装の裾をひるがえし、拓斗に背中を向けた。
一歩踏み出そうとするが、それは途中でピタリと止まった。
『拓斗……?』
拓斗が、亜莉亜の手を握っていた。
辛そうな、しかしそれに耐えるような表情に、言葉が出ない。
拓「──帰って、きてね。もう、置いていかないで……」
噛み締めるように紡がれた言葉が、重く、重く、のしかかる。
亜莉亜はしばらく驚いていたが、やがて口を開いた。
『お前には苦労をかけるな……』
申し訳なさそうに肩をすくめ、亜莉亜は姿を消した。
「うわぁぁああああ!!!」
亜莉亜の縛道を解いた偽物が、煙の奥で揺らめいている。
人間の声とは思えないような叫び声をあげて……。
『化け物、か──』
目を細め、寂しそうに、亜莉亜は呟く。
その厳しい表情が一段と張りつめる。
「神影亜莉亜──!許さない、許さない、許さない!!お前の居場所なんて無いんだよ、全部私のものなんだよ!私は一人で十分!私は復讐を好む!何がいけない!?私が何をしたって言うんだ!」
『いけないな──』
唐突な言葉に、辺りは静まる。
『感情がだだ漏れだ。本当、みっともない偽者だな』
亜莉亜は下げていた口当てをきゅっと引き上げた。
顔の大半が隠されて、黒い瞳が誇張される。
『過去を捨てようとするお前には分かるまいな。今の私は何もせず、誰にも助けられず、ただ生きることで作られた訳じゃない』
「そんなことは今関係ない!」
『癪だがお前には礼を言おう。思い出したよ──私に大切なことを教えてくれた人たちの事。そして、確信した』
「黙れ──ッ!」
取り乱したように、偽の亜莉亜が叫ぶ。
亜莉亜は敵を真っ直ぐに見据えながら言う。
『私はお前に負けない』
暗闇の中で、亜莉亜の瞳がキラリと光る。
次の瞬間、純白と漆黒の刀はぶつかり、互いを削りあっていた。
「死ねばいい……」
黒いもやが亜莉亜の周囲で激しく唸り、今にも主人であるはずの亜莉亜を食らおうとする。
亜莉亜は器用に身体を弾ませ、間合いをとる。
しかし、もやは亜莉亜を追い、僅かな隙も見せない。
狂ったように叫ぶ。
「ふははっ……! 消せ、闇鬼──!!」
かすれた、しかしよく響く重たい声が、空気を変える。
『なっ!?』
黒いもやがあっという間に亜莉亜たちを取り囲む。
亜莉亜には、これが作り物たとは到底思えなかった。
もやが触れた肌がピリピリと痛み、はっとして霊圧で体を保護する。
『拓斗!お前はこの結界から出てろ!』
拓「……できない」
黒いもやがうねる。
獲物に狙いを定めるかのような息遣いを感じ、亜莉亜は顔を強ばらせた。
『早く!』
拓「……嫌だよ……もう見ているだけなんて、そんなの……」
拓斗がそう言いかけたとき、闇鬼のもやがキリキリと音を立てた。
際限なく霊圧高まっていく。
「消えてしまえ……!お前ら二人とも!目障りだッ!」
黒い斬魄刀が不気味に光り、亜莉亜は咄嗟に左腕を上げ、手のひらを敵に向ける。
「叩き潰せ!!」
『闐嵐!!』
二人の亜莉亜が同時に叫ぶ。
収縮した黒いもやが亜莉亜に襲いかかり、亜莉亜の放った竜巻が黒いそれとぶつかり粉砕する。
辺りが一瞬にして砂埃に包まれた。
視界が悪い状態でも、亜莉亜は緊張を解かない。
『鉄砂の壁 僧形の塔 灼鉄熒熒 湛然として終に音無し
──縛道の七十五 五柱鉄貫』
亜莉亜が詠唱した途端、五つの輝く柱が現れ、偽の亜莉亜がいるであろう方向に飛んでいく。
『……少しは時間稼ぎになるだろ。ほら、拓斗』
亜莉亜は拓斗に手を差し伸べた。
『心配するな、私はもう昔の私じゃない』
ふわりと微笑むと、拓斗はしぶしぶと亜莉亜の手をとった。
亜莉亜はしっかりと手をつかみ、傷だらけの拓斗を立たせ、そして断空で作られた結界の外にそっと誘導した。
拓「亜莉亜、俺は──」
『詳しい話は後でゆっくり聞かせてもらう。お前は手当して、休んでろ。あとは私に任せてくれ』
亜莉亜は死覇装の裾をひるがえし、拓斗に背中を向けた。
一歩踏み出そうとするが、それは途中でピタリと止まった。
『拓斗……?』
拓斗が、亜莉亜の手を握っていた。
辛そうな、しかしそれに耐えるような表情に、言葉が出ない。
拓「──帰って、きてね。もう、置いていかないで……」
噛み締めるように紡がれた言葉が、重く、重く、のしかかる。
亜莉亜はしばらく驚いていたが、やがて口を開いた。
『お前には苦労をかけるな……』
申し訳なさそうに肩をすくめ、亜莉亜は姿を消した。
「うわぁぁああああ!!!」
亜莉亜の縛道を解いた偽物が、煙の奥で揺らめいている。
人間の声とは思えないような叫び声をあげて……。
『化け物、か──』
目を細め、寂しそうに、亜莉亜は呟く。
その厳しい表情が一段と張りつめる。
「神影亜莉亜──!許さない、許さない、許さない!!お前の居場所なんて無いんだよ、全部私のものなんだよ!私は一人で十分!私は復讐を好む!何がいけない!?私が何をしたって言うんだ!」
『いけないな──』
唐突な言葉に、辺りは静まる。
『感情がだだ漏れだ。本当、みっともない偽者だな』
亜莉亜は下げていた口当てをきゅっと引き上げた。
顔の大半が隠されて、黒い瞳が誇張される。
『過去を捨てようとするお前には分かるまいな。今の私は何もせず、誰にも助けられず、ただ生きることで作られた訳じゃない』
「そんなことは今関係ない!」
『癪だがお前には礼を言おう。思い出したよ──私に大切なことを教えてくれた人たちの事。そして、確信した』
「黙れ──ッ!」
取り乱したように、偽の亜莉亜が叫ぶ。
亜莉亜は敵を真っ直ぐに見据えながら言う。
『私はお前に負けない』
暗闇の中で、亜莉亜の瞳がキラリと光る。
次の瞬間、純白と漆黒の刀はぶつかり、互いを削りあっていた。
「死ねばいい……」
黒いもやが亜莉亜の周囲で激しく唸り、今にも主人であるはずの亜莉亜を食らおうとする。
亜莉亜は器用に身体を弾ませ、間合いをとる。
しかし、もやは亜莉亜を追い、僅かな隙も見せない。