第二十一話 ー差ー
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美しくて、優雅で、優しいけれども強くて、真面目で、仲間思いで──ほんの少し弱い。
そんな亜莉亜が好きだという気持ちは年を重ねる度に強くなった。
だから、自分の全てを彼女に捧げた。
今日までの俺の人生は全て亜莉亜のために使った。
亜莉亜が悲しむことがないように、亜莉亜が笑えるように。
しかし、その結果は、今目の前に広がっている”現実”……
はっとして意識を保つ。
考え事なんて、している暇はないのに。
激しい打ち合いの中、腹部の傷がじわりと痛んだ。
渾身の力で彼女の刀を弾き、距離を取る。
揺れた前髪の先から汗が一滴落ち、はっとする。
気付けば、全身汗まみれだった。
気持ち悪くて仕方がない。
こんなに汗だくになったのは久しぶりかもしれない──なんて。
余裕が無い。
それは、腹部に受けた傷のせいか。
はたまた、対峙する想い人のせいか。
嫌な汗が止まらない。
呼吸は荒く、思考がまとまらない。
出血が酷くなっていることは分かっていた。
けど、この戦いを止めるという選択肢は無かった。
例えこの命を捧げることになろうとも、彼女を止めなければいけない。
そうやって自分を鼓舞して、揺らぎそうになる意識を留める。
俺しかいないんだ、彼女のブレーキになれるのは。
『何だ、もうお仕舞いか?』
一歩、また一歩と亜莉亜が近づく。
”無”という感情を浮かべながら。
『とどめ、さしていいか?』
拓「やれるもんなら……やってみれば?」
ニヤリと笑ってみせる。
余裕を取り繕わねば、それこそ一瞬で決着をつけられてしまう。
姿勢を正し、斬魄刀”雷神”を構える。
『しぶといな、私は忙しいんだ。』
あぁ、悲しいな──
拓「君にはここで正気に戻ってもらう。だから、どこにも行かなくていい。……お願い、どこにも行かないで。」
すがるように言葉を紡いだって──
『何度も言った。着いてきてくれないのなら、お前は用無しだ。さっさと死んでくれ、邪魔だ。』
届かないんだから、君の心には──。
キンッ──!
冷たい目をした君が、ためらいなく刀を振り下ろす。
拓「くっ……!」
傷が疼いて、力が抜けてしまう。
防ぎきれなかった斬撃が顔のすぐ横をすり抜けていく。
冷や汗が背中を滑り落ちた。
そんなことはおかまいなしに、亜莉亜の攻撃は続く。
身体の軸が定まらない。
攻撃の軌道が読めなくなってきた。
拓「畜生……ッ!」
こんなところで、やられてたまるか。
諦めてたまるか。
拓「亜莉亜、もうやめよう。今ならまだ──」
『お前を殺し、ここの奴らを殺し、王族を、霊王を殺す。それだけが私の願いだ。邪魔をするな!』
拓「駄目だ、そんなこと!」
受け止め損ねた刀が、左のわき腹を裂いた。
痛みがうめき声となって洩れる。
もう限界だ。
身体に力が入らなくて、地面に膝をついた。
──この命を彼女に捧げたならば、彼女は目を覚ましてくれるのだろうか。
そんな考えが頭をよぎる。
至近距離で振り上げられた斬魄刀は、黒く鈍い光を帯びていた。
大人しく殺されようか。
でもな……
どうせいつか死ぬのなら──
拓「君を幸せにしてあげたかったな」
刃が迫り、俺は目を細めた。
そんな亜莉亜が好きだという気持ちは年を重ねる度に強くなった。
だから、自分の全てを彼女に捧げた。
今日までの俺の人生は全て亜莉亜のために使った。
亜莉亜が悲しむことがないように、亜莉亜が笑えるように。
しかし、その結果は、今目の前に広がっている”現実”……
はっとして意識を保つ。
考え事なんて、している暇はないのに。
激しい打ち合いの中、腹部の傷がじわりと痛んだ。
渾身の力で彼女の刀を弾き、距離を取る。
揺れた前髪の先から汗が一滴落ち、はっとする。
気付けば、全身汗まみれだった。
気持ち悪くて仕方がない。
こんなに汗だくになったのは久しぶりかもしれない──なんて。
余裕が無い。
それは、腹部に受けた傷のせいか。
はたまた、対峙する想い人のせいか。
嫌な汗が止まらない。
呼吸は荒く、思考がまとまらない。
出血が酷くなっていることは分かっていた。
けど、この戦いを止めるという選択肢は無かった。
例えこの命を捧げることになろうとも、彼女を止めなければいけない。
そうやって自分を鼓舞して、揺らぎそうになる意識を留める。
俺しかいないんだ、彼女のブレーキになれるのは。
『何だ、もうお仕舞いか?』
一歩、また一歩と亜莉亜が近づく。
”無”という感情を浮かべながら。
『とどめ、さしていいか?』
拓「やれるもんなら……やってみれば?」
ニヤリと笑ってみせる。
余裕を取り繕わねば、それこそ一瞬で決着をつけられてしまう。
姿勢を正し、斬魄刀”雷神”を構える。
『しぶといな、私は忙しいんだ。』
あぁ、悲しいな──
拓「君にはここで正気に戻ってもらう。だから、どこにも行かなくていい。……お願い、どこにも行かないで。」
すがるように言葉を紡いだって──
『何度も言った。着いてきてくれないのなら、お前は用無しだ。さっさと死んでくれ、邪魔だ。』
届かないんだから、君の心には──。
キンッ──!
冷たい目をした君が、ためらいなく刀を振り下ろす。
拓「くっ……!」
傷が疼いて、力が抜けてしまう。
防ぎきれなかった斬撃が顔のすぐ横をすり抜けていく。
冷や汗が背中を滑り落ちた。
そんなことはおかまいなしに、亜莉亜の攻撃は続く。
身体の軸が定まらない。
攻撃の軌道が読めなくなってきた。
拓「畜生……ッ!」
こんなところで、やられてたまるか。
諦めてたまるか。
拓「亜莉亜、もうやめよう。今ならまだ──」
『お前を殺し、ここの奴らを殺し、王族を、霊王を殺す。それだけが私の願いだ。邪魔をするな!』
拓「駄目だ、そんなこと!」
受け止め損ねた刀が、左のわき腹を裂いた。
痛みがうめき声となって洩れる。
もう限界だ。
身体に力が入らなくて、地面に膝をついた。
──この命を彼女に捧げたならば、彼女は目を覚ましてくれるのだろうか。
そんな考えが頭をよぎる。
至近距離で振り上げられた斬魄刀は、黒く鈍い光を帯びていた。
大人しく殺されようか。
でもな……
どうせいつか死ぬのなら──
拓「君を幸せにしてあげたかったな」
刃が迫り、俺は目を細めた。