第二十話 ー謎解きー
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砂埃が落ち着いて、死神たちはその光が何だったのか理解した。
冬「断空、なのか……?」
橙色の巨大な壁に四方八方を囲まれた空間。
そこに、拓斗と亜莉亜がいた。
その光景だけで、死神たちは拓斗がやろうとしているだろう事を理解した。
拓「君たちに邪魔はさせない。助けもいらない。ただ黙ってそこで見てろ──」
死神たちを一睨みすると、視界の中に杏樹をはじめとする零番隊の顔が入った。
青白い顔で涙をはらはらと流し、懸命に何かを叫んでいる、杏樹。
それを龍が抑えていて、そうしながらも何かを言っていた。
言葉を聞く気にはなれなかった。
けれど、胸に小さな痛みを感じた。
ごめんね、でも、君たちと俺は違うんだ。
瀞霊廷なんて、どうでもいい。
死神が1人残らず死んでしまっても、魂の均衡が崩れようとも、現世が血に染まっても、全く気にならない。
──そこに、亜莉亜さえいるのなら。
『拓斗、返事を聞いてもいいか──?』
不安げに目を伏せながら、目の前の亜莉亜が言った。
反射的に、了承しそうになる。
そんな自分に気づいて、俺の記憶の中で亜莉亜が微笑んで、喉から出かけた言葉を無理矢理飲み込む。
いいのか、それで。
彼女と共に王族や死神たちに復讐して、それで俺たちは幸福になれるのか。
『……迷って、いるのか?』
命を刈って、たくさんの血を浴びて。
殺した罪悪感は生まれないだろうか?
殺して、殺して、亜莉亜は昔みたいに笑うのか。
『お願いだ、拓斗……。』
縋るような目に、ますます追いつめられる気がする。
しかし、答えられない。
言葉が出てこない。
何故?
“行く”と言ってしまえば楽なのに。
『お前なら、一緒に来てくれるだろ……?一緒に復讐して、私たちが自由に生きられる世界を作ろう。全部殺して、消して、一から作り直すんだ……!』
あぁ、頭がぐちゃぐちゃで、何も考えたくない。
復讐、復讐、復讐──。
亜莉亜を傷つけた奴らに復讐する?
それでいいはずなのに、自分の中で何かが必死に訴えかけているのを感じる。
何で俺の邪魔をするの?
何が俺を引き留めているの?
何が正解なんだ。
──俺が大好きな亜莉亜は、復讐なんて望む人だったっけ──
ハッとする。
何を悩んでいたのだろう。
思い返してみれば、亜莉亜は、俺が大好きな亜莉亜は、そんなことを望んだことは一度たりとも無かった。
彼女は小さい頃から、ずっと、誰かを護ることだけを考えて生きてきた。
彼女の人生は、「護る」という、唯それだけの事に費やされてきたんだ。
それなら、彼女が幸せになるためにはどうしたらよいのか?
復讐に手を染めてしまえば、彼女が今までやってきたことは全て水の泡になってしまう。
「護る」ために何度も泣いて、悩んで、苦しんで、そうやって生きてきた、その時間を無かったことにするのか──?
確かに俺は、亜莉亜さえいれば他には何も望まない。
でも、だからこそ、亜莉亜が望む世界がなくちゃいけない。
彼女が幸せだと思える世界を作らなくてはいけない。
彼女が望んでいたものは、少なくとも復讐なんてものじゃないはず。
それなら、俺がすべき事は一つなんじゃないだろうか。
拓「亜莉亜、決めたよ。」
身体の中から緊張がスルリと抜けていく。
気がつけば、俺は緩んだ微笑を浮かべていた。
拓「君と一緒には、行けない。」
そう言ったと同時に、腹部から赤が溢れ出た。
冬「断空、なのか……?」
橙色の巨大な壁に四方八方を囲まれた空間。
そこに、拓斗と亜莉亜がいた。
その光景だけで、死神たちは拓斗がやろうとしているだろう事を理解した。
拓「君たちに邪魔はさせない。助けもいらない。ただ黙ってそこで見てろ──」
死神たちを一睨みすると、視界の中に杏樹をはじめとする零番隊の顔が入った。
青白い顔で涙をはらはらと流し、懸命に何かを叫んでいる、杏樹。
それを龍が抑えていて、そうしながらも何かを言っていた。
言葉を聞く気にはなれなかった。
けれど、胸に小さな痛みを感じた。
ごめんね、でも、君たちと俺は違うんだ。
瀞霊廷なんて、どうでもいい。
死神が1人残らず死んでしまっても、魂の均衡が崩れようとも、現世が血に染まっても、全く気にならない。
──そこに、亜莉亜さえいるのなら。
『拓斗、返事を聞いてもいいか──?』
不安げに目を伏せながら、目の前の亜莉亜が言った。
反射的に、了承しそうになる。
そんな自分に気づいて、俺の記憶の中で亜莉亜が微笑んで、喉から出かけた言葉を無理矢理飲み込む。
いいのか、それで。
彼女と共に王族や死神たちに復讐して、それで俺たちは幸福になれるのか。
『……迷って、いるのか?』
命を刈って、たくさんの血を浴びて。
殺した罪悪感は生まれないだろうか?
殺して、殺して、亜莉亜は昔みたいに笑うのか。
『お願いだ、拓斗……。』
縋るような目に、ますます追いつめられる気がする。
しかし、答えられない。
言葉が出てこない。
何故?
“行く”と言ってしまえば楽なのに。
『お前なら、一緒に来てくれるだろ……?一緒に復讐して、私たちが自由に生きられる世界を作ろう。全部殺して、消して、一から作り直すんだ……!』
あぁ、頭がぐちゃぐちゃで、何も考えたくない。
復讐、復讐、復讐──。
亜莉亜を傷つけた奴らに復讐する?
それでいいはずなのに、自分の中で何かが必死に訴えかけているのを感じる。
何で俺の邪魔をするの?
何が俺を引き留めているの?
何が正解なんだ。
──俺が大好きな亜莉亜は、復讐なんて望む人だったっけ──
ハッとする。
何を悩んでいたのだろう。
思い返してみれば、亜莉亜は、俺が大好きな亜莉亜は、そんなことを望んだことは一度たりとも無かった。
彼女は小さい頃から、ずっと、誰かを護ることだけを考えて生きてきた。
彼女の人生は、「護る」という、唯それだけの事に費やされてきたんだ。
それなら、彼女が幸せになるためにはどうしたらよいのか?
復讐に手を染めてしまえば、彼女が今までやってきたことは全て水の泡になってしまう。
「護る」ために何度も泣いて、悩んで、苦しんで、そうやって生きてきた、その時間を無かったことにするのか──?
確かに俺は、亜莉亜さえいれば他には何も望まない。
でも、だからこそ、亜莉亜が望む世界がなくちゃいけない。
彼女が幸せだと思える世界を作らなくてはいけない。
彼女が望んでいたものは、少なくとも復讐なんてものじゃないはず。
それなら、俺がすべき事は一つなんじゃないだろうか。
拓「亜莉亜、決めたよ。」
身体の中から緊張がスルリと抜けていく。
気がつけば、俺は緩んだ微笑を浮かべていた。
拓「君と一緒には、行けない。」
そう言ったと同時に、腹部から赤が溢れ出た。