第十九話 ー最後の襲撃ー
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七緒は、腕の中にあるたくさんの資料に目をやる。
途方もなく、多い。
黒雷乃雅についての記述は、あらゆる資料にあるのだ。
だから、再調査をするにしても、このような少人数で行うことができる訳がない。
ましてや、入隊したばかりの一隊士である。
無謀も良いところだ。
そう、思っていた。
けれど、彼──牙条刹羅は違うのだ。
七緒は机に山盛りの資料を読む刹羅を見た。
大量の書類整理に慣れている七緒でさえ、簡単に処理できないほどの量を、刹羅は驚くほどの早さで片づけている。
現に、集められた資料は、すでに半分以下にまで減らされている。
七緒は、刹羅ほどの能力がある人を見たことがないと思った。
だから、彼を見る目には、驚きに加えて、尊敬の思いが込められていた。
『……ん?』
ふと、二人の目が合った。
途端に、刹羅の周りにあった近寄りがたい雰囲気が和らぐ。
『どうかしましたか、伊勢副隊長。』
ただ刹羅を見ていただけだった 七緒は、声をかけられてびくりと肩を震わせた。
七「い、いえ……。あぁ!これ、資料です。もう一度確認してはきますが、恐らくこれで全てだと思われます。」
『そうですか、ありがとうございました。』
刹羅が表情を弛める。
七「では。」
七緒が資料の確認に行く。
刹羅は七緒の背中から、ゆったりと手元の資料に視線を戻す。
今のところ、特に進展はない。
しかし、七緒に集めてもらった資料は確実に消化されている。
勿論、諦める気はさらさらない──が、成果の無さへのため息は抑えようがなかった。
記述自体は、山のようにあった。
けれどそれは全て黒雷乃雅1人についての記述であり、全て既知のものだった。
何かがおかしい気がした。
考えすぎだと言えば、それで終わりかもしれないけれど──
そんなことを考えているうちに、見知った霊圧が近くに来るのを感じた。
声をかけようと口を開きかけた瞬間、名前を呼ばれた。「亜莉亜ー!」と。
顔がひきつった。
瑚「ふぁっ!?ごめんなさいなのです!刹羅、もう怪我は大丈夫なのですか?」
『──はぁ、まあな。』
瑚「安心したのです……。」
瑚絽音がふわりと笑った。
あどけなさの残る表情に、刹羅の眉間に寄っていた皺は解かれてしまった。
『ところで、来てもらってすぐで申し訳ないが、お前にもやって欲しいことがある。』
瑚「はいなのです!瑚絽音で出来ることなら何でもするです!」
瑚絽音が元気良く返事をすると、トレードマークのツインテールがぴょんと跳ねる。
『……元気なのは良いことだがな、これはくれぐれも内密にしてくれ。資料集めは伊勢にも手伝ってもらっているが、これは完全に別件だ。あいつにも話すな。』
念には念をと、注意する。
『瑚絽音、お前は、王族と上流貴族について調べてくれ。』
そう言えば、瑚絽音は首をかしげた。
瑚「それも、必要なことなのですか?」
『まぁ、そんな感じだ。お前の方は、資料を見つけてもここに運ぶ必要はない。中身を見て、何かあれば私に報告してくれ。細かいことは全て任せる。』
瑚「……分かったのです。じゃあ、行って来るのです!」
その瞬間、瑚絽音の姿が消えた。
随分瞬歩も上手くなったものだと、見送りながらも刹羅は苦笑していた。
さあ、資料確認に戻るか──そう思って、硬くなってしまった身体を伸ばし、気合を入れる。
その時だった。
非常事態を知らせるベルがけたたましく鳴り響き、刹羅はぱっと顔を上げた。
このベルは、恐らく瀞霊廷全土に危険を知らせるためのものだ。
何かが起こったのだろうか?そんな不安が頭の中を一気に染めた。
外の霊圧から何か分からないだろうかと、意識を集中させてみる。
しかし──
『なッ!?』
全く霊圧を感じない。
感じるのは、伊勢のものと、瑚絽音のものだけ。
『どういうことだ……』
大霊書回廊に、外の霊圧を遮断するような機能はない。
いつまでも鳴り止まないベルが、より刹羅の緊張を高めていった。
途方もなく、多い。
黒雷乃雅についての記述は、あらゆる資料にあるのだ。
だから、再調査をするにしても、このような少人数で行うことができる訳がない。
ましてや、入隊したばかりの一隊士である。
無謀も良いところだ。
そう、思っていた。
けれど、彼──牙条刹羅は違うのだ。
七緒は机に山盛りの資料を読む刹羅を見た。
大量の書類整理に慣れている七緒でさえ、簡単に処理できないほどの量を、刹羅は驚くほどの早さで片づけている。
現に、集められた資料は、すでに半分以下にまで減らされている。
七緒は、刹羅ほどの能力がある人を見たことがないと思った。
だから、彼を見る目には、驚きに加えて、尊敬の思いが込められていた。
『……ん?』
ふと、二人の目が合った。
途端に、刹羅の周りにあった近寄りがたい雰囲気が和らぐ。
『どうかしましたか、伊勢副隊長。』
ただ刹羅を見ていただけだった 七緒は、声をかけられてびくりと肩を震わせた。
七「い、いえ……。あぁ!これ、資料です。もう一度確認してはきますが、恐らくこれで全てだと思われます。」
『そうですか、ありがとうございました。』
刹羅が表情を弛める。
七「では。」
七緒が資料の確認に行く。
刹羅は七緒の背中から、ゆったりと手元の資料に視線を戻す。
今のところ、特に進展はない。
しかし、七緒に集めてもらった資料は確実に消化されている。
勿論、諦める気はさらさらない──が、成果の無さへのため息は抑えようがなかった。
記述自体は、山のようにあった。
けれどそれは全て黒雷乃雅1人についての記述であり、全て既知のものだった。
何かがおかしい気がした。
考えすぎだと言えば、それで終わりかもしれないけれど──
そんなことを考えているうちに、見知った霊圧が近くに来るのを感じた。
声をかけようと口を開きかけた瞬間、名前を呼ばれた。「亜莉亜ー!」と。
顔がひきつった。
瑚「ふぁっ!?ごめんなさいなのです!刹羅、もう怪我は大丈夫なのですか?」
『──はぁ、まあな。』
瑚「安心したのです……。」
瑚絽音がふわりと笑った。
あどけなさの残る表情に、刹羅の眉間に寄っていた皺は解かれてしまった。
『ところで、来てもらってすぐで申し訳ないが、お前にもやって欲しいことがある。』
瑚「はいなのです!瑚絽音で出来ることなら何でもするです!」
瑚絽音が元気良く返事をすると、トレードマークのツインテールがぴょんと跳ねる。
『……元気なのは良いことだがな、これはくれぐれも内密にしてくれ。資料集めは伊勢にも手伝ってもらっているが、これは完全に別件だ。あいつにも話すな。』
念には念をと、注意する。
『瑚絽音、お前は、王族と上流貴族について調べてくれ。』
そう言えば、瑚絽音は首をかしげた。
瑚「それも、必要なことなのですか?」
『まぁ、そんな感じだ。お前の方は、資料を見つけてもここに運ぶ必要はない。中身を見て、何かあれば私に報告してくれ。細かいことは全て任せる。』
瑚「……分かったのです。じゃあ、行って来るのです!」
その瞬間、瑚絽音の姿が消えた。
随分瞬歩も上手くなったものだと、見送りながらも刹羅は苦笑していた。
さあ、資料確認に戻るか──そう思って、硬くなってしまった身体を伸ばし、気合を入れる。
その時だった。
非常事態を知らせるベルがけたたましく鳴り響き、刹羅はぱっと顔を上げた。
このベルは、恐らく瀞霊廷全土に危険を知らせるためのものだ。
何かが起こったのだろうか?そんな不安が頭の中を一気に染めた。
外の霊圧から何か分からないだろうかと、意識を集中させてみる。
しかし──
『なッ!?』
全く霊圧を感じない。
感じるのは、伊勢のものと、瑚絽音のものだけ。
『どういうことだ……』
大霊書回廊に、外の霊圧を遮断するような機能はない。
いつまでも鳴り止まないベルが、より刹羅の緊張を高めていった。