第十七話 ー大虚ー
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そうして、始めの場面に戻る──。
藤「では、牙条は木刀を取り、前へ。」
『はい。』
刹羅は言われたとおりに木刀を受け取り、軽く一振りして感触を確かめてから足を踏み出した。
卒業試験の監督であろう教師たちがその様子をじっと見ている。
『対戦相手は』
また吉田…じゃないだろうな。
多少はお世話になったが、奴は弱すぎる。
藤「山崎先生、前へ。」
藤山がそう言うと、肩ほどの長さの黒髪をきっちりとくくった女性教師が進み出た。
凛々しい表情から、それなりの実力者だと推測できた。
山「山崎真琴です。手加減はしないので、そのつもりで。」
『!!』
山崎真琴
その名に、亜莉亜は心当たりがあった。
『(こいつも教師になったのか…懐かしい顔だ。)』
山崎真琴は、霊術院にいたときのクラスメートだった。
あまりあの頃は関わりが無かったが、とにかく真面目な奴だった…。
そう記憶している。
藤「規則は特にない。不慮の事故についてもこちらは一切責任は負わない。あとは、勝敗が合否に直接影響することはないため、心得ておけ。それでは試合を開始せよ。」
そこらの卒業試験ではまず聞くことが無いであろう台詞のあと、すぐに試合は始まった。
山「いきます。」
抑揚のない真琴の声が響くと同時に、互いの木刀が勢いよく交差した。
ハッと見開かれる真琴の目。
布で隠された刹羅の唇が楽しげにピクリと動いた。
『どうかされましたか、先生。』
山「…っ」
刹羅の冷たい視線に圧倒され、真琴は瞬歩を使い一旦刹羅と距離をとった。
張り詰めた空気の中、両者が木刀を構え直す。
と、そのとき──
「た、大変です!!」
血相を変えた一人の生徒が、修練場に飛び込んできた。
生徒の顔は汗にまみれ、走ってきたのだろうか、その呼吸は激しい。
入口近くにいた教師が、すぐに生徒の元に駆け寄り、事情を尋ねる。
生徒は話せる程度に呼吸を整えると、深く息を吸い込み、その場にいる全員がはっきりと聞き取れるほど大きな声で叫んだ。
「だ 、男子寮に、大虚が出現しました!」
辺りは騒然となった。
藤「な、なんと!!…詳しく話を!」
藤山が張り詰めた声で尋ねる。
だが、答えようと口を開いた生徒の声は、真琴に遮られてしまった。
山「待ちなさい牙条刹羅 !試験を放棄する気ですか!?早く定位置に戻りなさい!!」
藤「では、牙条は木刀を取り、前へ。」
『はい。』
刹羅は言われたとおりに木刀を受け取り、軽く一振りして感触を確かめてから足を踏み出した。
卒業試験の監督であろう教師たちがその様子をじっと見ている。
『対戦相手は』
また吉田…じゃないだろうな。
多少はお世話になったが、奴は弱すぎる。
藤「山崎先生、前へ。」
藤山がそう言うと、肩ほどの長さの黒髪をきっちりとくくった女性教師が進み出た。
凛々しい表情から、それなりの実力者だと推測できた。
山「山崎真琴です。手加減はしないので、そのつもりで。」
『!!』
山崎真琴
その名に、亜莉亜は心当たりがあった。
『(こいつも教師になったのか…懐かしい顔だ。)』
山崎真琴は、霊術院にいたときのクラスメートだった。
あまりあの頃は関わりが無かったが、とにかく真面目な奴だった…。
そう記憶している。
藤「規則は特にない。不慮の事故についてもこちらは一切責任は負わない。あとは、勝敗が合否に直接影響することはないため、心得ておけ。それでは試合を開始せよ。」
そこらの卒業試験ではまず聞くことが無いであろう台詞のあと、すぐに試合は始まった。
山「いきます。」
抑揚のない真琴の声が響くと同時に、互いの木刀が勢いよく交差した。
ハッと見開かれる真琴の目。
布で隠された刹羅の唇が楽しげにピクリと動いた。
『どうかされましたか、先生。』
山「…っ」
刹羅の冷たい視線に圧倒され、真琴は瞬歩を使い一旦刹羅と距離をとった。
張り詰めた空気の中、両者が木刀を構え直す。
と、そのとき──
「た、大変です!!」
血相を変えた一人の生徒が、修練場に飛び込んできた。
生徒の顔は汗にまみれ、走ってきたのだろうか、その呼吸は激しい。
入口近くにいた教師が、すぐに生徒の元に駆け寄り、事情を尋ねる。
生徒は話せる程度に呼吸を整えると、深く息を吸い込み、その場にいる全員がはっきりと聞き取れるほど大きな声で叫んだ。
「だ 、男子寮に、大虚が出現しました!」
辺りは騒然となった。
藤「な、なんと!!…詳しく話を!」
藤山が張り詰めた声で尋ねる。
だが、答えようと口を開いた生徒の声は、真琴に遮られてしまった。
山「待ちなさい牙条刹羅 !試験を放棄する気ですか!?早く定位置に戻りなさい!!」