第十七話 ー大虚ー
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藤「それでは、牙条刹羅と九河原瑚絽音の卒業試験を開始する!!」
重々しい声が響きわたった。
『お願いします。』
瑚「宜しくお願いします、なのです!」
刹羅と瑚絽音は深々と頭を下げた。
少し時は戻り、これは昨晩のことである。
卒業試験を受けさせてもらうため藤山の部屋を訪れた刹羅たちは、必死に頭を下げていた。
藤「入学して一年も経っていない者を、どうして卒業させられるというのだ。お主等は知っているか?ここは六年課程であるのだぞ。」
『そこをどうにかお願いします。』
刹羅はまた、頭を下げた。
藤「だいたい、素性の知れないお主等は信用できない。いい加減に諦めるんだな。」
藤山はそう言うと二人に背を向けた。
『──素性が分かれば、協力してくれますか。』
刹羅が意味ありげに言った。
藤「少しは考えてやろう。」
そのままの体勢で藤山が答える。
『そうですか。なら──』
刹羅は自身の指にはまる指輪に、そっと手をかけた。
その様子を、瑚絽音が心配そうに見守っている。
『よく見ておいて下さい、先生。』
刹羅は指輪を取った。
藤「!?」
刹羅の髪が、根元から空色に染まっていく。
そして毛先までが完璧に色づいたのを確認してから、刹羅は、いや亜莉亜は顔を上げた。
蒼眼がキッと前を見つめる。
シュッ…
最後に口当てが引き下ろされ、完全に亜莉亜になる。
藤「な、何だと…!?」
目を白黒させている藤山をよそに、亜莉亜は堂々と座り、刀を帯から抜き取って目の前にそっと寝かせた。
『零番隊隊長、神影亜莉亜と申します。つまり、牙条刹羅などという人物は、はなから存在致しません。』
藤「零番隊、隊長…!?』
『はい、間違いありません。』
亜莉亜が落ち着いた様子でそう断言すれば、藤山は戸惑ったように視線をさまよわせた。
藤「──何故、私に姿をお見せになったのですか。」
ぎこちない敬語で言う。
『素性を明らかにしろと仰せになったからです。…あぁ、私に敬語は必要ありません。もう、そんな権力はありませんから。』
藤「しかし──神影殿にそのような無礼は」
『気遣いは無用です、と。』
亜莉亜がちらりと見せた威圧的な態度に、藤山の肩がびくりと揺れた。
藤「わ、分かった。だが、それならば神影殿も敬語は──」
『分かっている。では、早速本題に入らせてもらう。』
重々しい声が響きわたった。
『お願いします。』
瑚「宜しくお願いします、なのです!」
刹羅と瑚絽音は深々と頭を下げた。
少し時は戻り、これは昨晩のことである。
卒業試験を受けさせてもらうため藤山の部屋を訪れた刹羅たちは、必死に頭を下げていた。
藤「入学して一年も経っていない者を、どうして卒業させられるというのだ。お主等は知っているか?ここは六年課程であるのだぞ。」
『そこをどうにかお願いします。』
刹羅はまた、頭を下げた。
藤「だいたい、素性の知れないお主等は信用できない。いい加減に諦めるんだな。」
藤山はそう言うと二人に背を向けた。
『──素性が分かれば、協力してくれますか。』
刹羅が意味ありげに言った。
藤「少しは考えてやろう。」
そのままの体勢で藤山が答える。
『そうですか。なら──』
刹羅は自身の指にはまる指輪に、そっと手をかけた。
その様子を、瑚絽音が心配そうに見守っている。
『よく見ておいて下さい、先生。』
刹羅は指輪を取った。
藤「!?」
刹羅の髪が、根元から空色に染まっていく。
そして毛先までが完璧に色づいたのを確認してから、刹羅は、いや亜莉亜は顔を上げた。
蒼眼がキッと前を見つめる。
シュッ…
最後に口当てが引き下ろされ、完全に亜莉亜になる。
藤「な、何だと…!?」
目を白黒させている藤山をよそに、亜莉亜は堂々と座り、刀を帯から抜き取って目の前にそっと寝かせた。
『零番隊隊長、神影亜莉亜と申します。つまり、牙条刹羅などという人物は、はなから存在致しません。』
藤「零番隊、隊長…!?』
『はい、間違いありません。』
亜莉亜が落ち着いた様子でそう断言すれば、藤山は戸惑ったように視線をさまよわせた。
藤「──何故、私に姿をお見せになったのですか。」
ぎこちない敬語で言う。
『素性を明らかにしろと仰せになったからです。…あぁ、私に敬語は必要ありません。もう、そんな権力はありませんから。』
藤「しかし──神影殿にそのような無礼は」
『気遣いは無用です、と。』
亜莉亜がちらりと見せた威圧的な態度に、藤山の肩がびくりと揺れた。
藤「わ、分かった。だが、それならば神影殿も敬語は──」
『分かっている。では、早速本題に入らせてもらう。』