『…！』
私はパッと目を開いた。
いつの間にか隊首室には朝日が差し込み、辺りには鳥のさえずりが響いている。
あぁ、居眠りしてたのか。
いけないな…
溜まった書類を片付けるために徹夜していたのに、寝てしまっては意味が無いではないか。
『はぁ。』
亜莉亜は一晩中座っていた椅子からゆっくりと立ち上がった。
まだこんな時間か。
そういえば、拓斗が吉沢にやられたのも早朝だと言っていたな。
吉沢は一体どこに消えたのだろう。
怜に色々と探らせてはいるが…今のところ収穫はゼロ。
ドサッ
応接用のソファーに横になる。
一眠りするか。
まだこんな時間だし、このまま一日仕事をするには眠すぎる。
誰かが来るという訳でもないのだ。
少しくらい…。
私はゆっくりと目を閉じた。意識がスウッと吸い込まれていった…。

卯「経過は良好、ですね。」
卯ノ花が微笑む。
ここは拓斗の病室。
拓斗の怪我はすっかり良くなっていた。
拓「じゃあ、そろそろ退院できますか？」
拓斗の急な申し出に、卯ノ花は驚いたようだった。
卯「我妻さん、あなたはご自分がどれだけ危険な状態にあったか、分かっておられるのですか？いくら回復が早いからといえ…」
拓「すみません。…でも、早く帰って仕事しないと、書類が大変なことになっちゃうんですよ。」
拓斗は苦笑いする。
卯「それはそうかもしれませんが…」
拓「お願いします。」
卯ノ花はしばらく黙りこんでから、答えた。
卯「仕方ありませんね。亜莉亜さんが気になるのでしょう？…なるべく安静にしてください。激しく動かなければ、傷が開くこともないでしょう。」
拓「ありがとうございます。」
卯「決して無茶なことをしてはいけませんよ。貴方は一度死にかけたのです。そのことをお忘れなく…」