『セーフ、だな。馬鹿にするなよ。』
ア「残念ね…もう少し反応が遅かったら、首が飛んでたのに。」
アスモデウスは、その手に握った扇子のような形の刃物を、ヒラヒラと振る。
『こんなところで首をはねるられてたまるか。』
亜莉亜は闇鬼を握る手に力を込める。
私はこんなところで死ぬわけにはいかない。
護らなければならない仲間がいるから。
ア「あっちに居たときよりも、随分強いのね。」
あっち…恐らく現世のことだろう。
『現世では使える霊圧に限度があるからな…あんまり油断してると一瞬でやられるぞ。』
亜莉亜は不敵な笑みを浮かべる。
ア「…限定解除、だったかしら？」
『何故その言葉を知っている。……貴様、もしや死神か。』
ア「いいえ。死神じゃないわ。…何となく思い出しただけ。遠い昔に聞いたことがある気がしたから。」
『どういう意味だ。』
ア「さぁね。それじゃ、そろそろ私は行こうかしら。」
『なっ…』
辺りの風が強まり始める。
ア「私、最初から、貴女と闘うつもりはなかったもの…通りすがりに見つけたから、遊んでみただけ。」
砂埃のお蔭で亜莉亜にはアスモデウスの姿が見えない。
『貴様っ、待て！！』
ア「さようなら、神影亜莉亜。また会いましょう。」
『おい！…ッ』
激しく吹き荒れていた風が嘘のように収まり、辺りには静寂が残った。
『…アイツ』
ふと亜莉亜は、自らの目の前に一枚の紙切れが落ちていることに気付いた。
それを拾い上げると、小さな声で読み上げた。
『…神影亜莉亜、貴女に一つだけ忠告をしておきましょう。私たちは、貴女たち死神には倒せないほど強くなる。今のうちにせいぜい鍛えておくことね。…』
"強くなる"
一体どういう意味なんだ。