拓「あの…俺、どのくらいこうして──？」
一番聞きたかったことを尋ねる。
卯「５日間です。…昨日までは亜莉亜さんもずっと起きて看病なさっていたのですが……」
卯ノ花は熟睡しているらしい亜莉亜を見て微笑む。
５日間…つまり、４日も寝て無かったって事だよね。
そんな大した事無かったのに。
少し嬉しい反面、申し訳ない。
卯「…お入りなさい。」
卯ノ花の指示で、数人の四番隊士たちが病室に入り、点滴を取り替えたり、体温を測ったり…とせわしなく動く。
その時、亜莉亜の体が少し動いた。
『…ん？』
亜莉亜がゆっくりと体を起こす。
そのとたん、笑顔の拓斗と目が合った。
『ぅわっ！？』
拓「あ…」
バランスを崩し、椅子から転げ落ちた亜莉亜。
唖然とする隊員たち。
目を丸める卯ノ花。
虚しく転がる丸イス。
その場の誰もがこう思った。
”らしくない”と。
『…拓斗！脅かすな！！』
珍しく顔を赤く染めて叫ぶ亜莉亜。
いつもとはまるで別人のように、威圧感が無い。
拓「え〜、脅かしてないじゃん。珍しいね、亜莉亜が慌てるとか。」
拓斗はニコニコと微笑む。
普段なら、『慌ててない』とか、『いい加減にしろ』、そう言い返してくるはずだった。
だが、亜莉亜は俯いたまま、顔を上げようとしない。
あーあ。やっちゃったか…
拓斗には、こういう状態の亜莉亜に見覚えがあった。
拓「ごめん、俺たちだけにしてくれない？」
卯「…分かりました。行きましょう、続きはまた後からで構いません。」
戸惑いを浮かべながら、隊員たちも出て行く。