拓「それが君の本性ってやつ？随分と偉そうだね。」
湖「…」
拓斗の皮肉めいた言葉に、湖娘は答えない。
拓「何しに来たの？吉沢湖娘平隊員。」
湖娘は一瞬だけ拓斗を睨むと、壁に寄りかかり、そっぽを向いた。
湖「ねぇ副隊長。噂はもう聞いた？」
”噂”
それは恐らく、湖娘を、拓斗や亜莉亜が虐めているといった類の物だろう。
拓斗には安易に予想できた。
だが、あえてとぼけることにした。
湖娘の反応を窺がうために。
拓「さぁね。何のこと？」
湖「っふざけないでよ！…もう一度聞くわ。噂を聞いたでしょ？」
拓「上官に対する態度がなってないんじゃない？質問するときは敬語、でしょ？」
ヒュッ…
何かが突然拓斗に飛んできた。
拓「！？」
かろうじて拓斗はそれを受け止めるが、受け止めた右手からは血が滴っている。
一体どういうこと？
全く見えなかった。
勘で受け止められたからまだ良かったけど、下手したら確実に重症を負ってた…
誰がこんなことを？
湖「ふふふっ…驚いた顔。最高だわ。」
不敵な笑みを浮かべながら拓斗に近づく湖娘。
拓「…まさか」
まさか、吉沢湖娘が？
ありえない。
あの、瀞霊廷一のぶりっ子かつ腰抜け隊員の吉沢湖娘が？
湖「疑ってるの？馬鹿ね…あたし以外に誰がやったっていうのよ。」
拓「……」
こいつ…危ない。
さっきのが実力だとしたら、零番隊席官並、いやそれ以上の力がある。
拓斗は、背後に立てかけてあった自らの斬魄刀、雷神に手をかけた。
湖「やれるもんならやってみたら？」