亜莉亜の瞳が見開かれる。
『本当か！？』
喜「ええ。今から皆さんにお話しますんで、亜莉亜サンと龍サンも早く中へ。」
龍「名前で呼ぶなっ！！」
『どうでもいいから早く入れ。』
喜助に名前で呼ばれたことに不満を抱く龍に対し、亜莉亜は冷たく声を放つ。

居間に入ると、現世に来ている死神全員がそろい、ちゃぶ台を囲んでいた。
喜「それじゃ、始めましょうか。」
真剣な話をしようとしているからか、誰一人として茶化す者はいない。
喜「まずは、以前亜莉亜サンの傷から採取した霊子についてです。やはりあれは、アタシの予想どうり、人間や死神などのものではありませんでした。その構造についてお話しようと思うんですけど…その前に。」
喜助の声のトーンが下がる。
喜「亜莉亜サン。」
『？』
喜「貴女に確認しておきたいことがあるんです。」
『何だ』
喜助は一瞬だけ目を伏せると、亜莉亜の目をしっかりと見つめた。
喜「前に貴女は言ってましたよね。…初めて尸魂界に来たときのこと。」
『あぁ。それがどうした。』
喜「もう一度、詳しく聞かせてください。覚えていること全てについて。」
『何故…？』
納得いかない様子の亜莉亜。
だが、喜助は目をそらすだけで、亜莉亜の疑問に答えようとはしない。
その様子を見た夜一が、静かに口を開いた。
夜「奴の霊子について調べる際、お主の霊子も一緒に調べて比較してみたそうなんじゃが…。一致したところがあったらしい。」
『！？…つまり、私が奴だとっ』
喜「それは違います！！」
即座に喜助が否定する。
夜「そうじゃ、亜莉亜。わしらが疑っておるのは、お主の生い立ちと、奴とに何か関係があるのではないかということじゃ。」
『私の生い立ち……？』
喜「話していただけませんか。」
喜助は亜莉亜に優しく語りかける。
『…分かった。覚えていることは全て話す。』
喜助と夜一は、亜莉亜の返答にほっとした表情を見せる。
それから亜莉亜は、自らの記憶をゆっくりとたどっていった。
気づいたら見知らぬ森にいて、あてもなく歩いていたら流魂街に出て、髪と瞳の色でさんざんと虐められ…そして山じいに拾われたこと。
喜「それ以前のことは何か分かりますか？」
『いや。一切覚えていない。』