現世に着いた死神御一行は、まず浦原商店に向かった。
『私だ。入る』
喜「ようこそいらっしゃいました～！！」
亜莉亜が《入るぞ》と言い切る前に、中から喜助が飛び出してきた。
喜「さ、どうぞどうぞ中へ！」
『……失礼する』
ぞろぞろと中に入る１０人。
龍「失礼しやーす…あれ？俺、ここ来るの初めてだっけ？」
冬「いいから早く座れ。」
なかなか落ち着かない龍が座ったのを見て、亜莉亜は話を始めた。
『早速だが、浦原。』
喜「！…何でしょう？」
《浦原》と呼ばれたことに少しだけ驚く喜助だが、すぐにその意味を悟り、真剣な表情になる。
そう、亜莉亜が《喜助》ではなく《浦原》と呼ぶときは、表立って特に重要な話をするときなのだ。
『先日出現した霊圧について、何か分かっていることがあれば教えてくれ。』
全員が喜助に注目する。
だが、亜莉亜たちの期待とは裏腹に、喜助は心底申し訳なさそうな顔をして言った。
喜「残念ながら、ですね。いやぁ、アタシも気になったんで調べてみてはいるんですが、なにしろ例の霊圧が出たのはほんの一瞬でしたし、霊子の一つも残ってなかったもので、調べようもないんスよ……」
『そうか。厄介だな』
亜莉亜が眉間に皺を寄せる。
喜「ただ」
『ただ？』
喜「これはアタシの勘ですので、確かかは分かりませんが、あの霊圧は死神のものでも、虚のものでも、ましてや滅却師のものでも…」
冬「ないっていうのか？」
喜「ハイ。」
冬「死神、虚、滅却師以外の何者か。そんなもの……」
冬獅郎は半信半疑といった様子である。
龍「ありえねぇよ。第一、こいつの証言なんてあてに…」
喜「あららぁ…初対面なのに、酷いこと言いますねぇ」
龍「初対面だからこそ信用ねぇんだっ！」
乱「確かに、私たちの知らない第三者がいる、なんてこと、簡単には信じられないわよね。」