拓「亜莉亜……」
力なく呟く。
亜莉亜の霊圧をこれ以上拡大させないため、一人結界を張る拓斗。
これは亜莉亜の頼みだった。
もし、強力な結界を張らずに卍解をすれば、誰を巻き込んでしまうかも分からない。
だから、一番信頼できるお前に、この仕事を託したいんだ。
彼女はそう言っていた。
拓「信頼してくれてるのは嬉しいけどさ、ちょっと危なっかしくない？」
結界の中で乃雅と戦う、愛しい人。
卍解をした彼女の力は、劇的に向上した。
どこからどう見ても、彼女の方が優勢だ。
しかし、どこか動きが危なげなのだ。
乃雅への斬撃を発した後、必ずといっていいほど身体の重心がぶれる。
それに、表情が常に険しい。
拓「亜莉亜…お願いだから、無茶だけはしないで──」
苦悶の表情で、拓斗は亜莉亜の無事を祈るのだった。

一「くそっ…」
やっと亜莉亜の近くまで辿り着いた、一護たち。
雨「手遅れだったみたいだな。」
静かに雨竜は言った。
そう、彼らの目的は亜莉亜の卍解を阻止することだった。
しかし、すでに亜莉亜は卍解をしている。
一「何でてめぇは一人で戦ってるんだよ。」
悲しげな一護の言葉は、亜莉亜には届かなかった。

『どうだ。いい加減、余裕も無くなってきただろ。』
乃「それは、お互い様じゃねぇかよ。」
強がる二人。
しかし、その姿は血にまみれ、どう見ても苦しそうである。
『そろそろ決着つけるぞ。』
そう言って、震える手で斬魄刀を正面に構える亜莉亜。
気がつけば、拓斗に張らせた結界の外側には、たくさんの死神の姿があった。
日番谷や朽木など護廷十三隊の面々に加え、杏樹や龍、怜に魅月、あと、そらと江恋と華恋も。
多少の怪我はあるようだが、幸いにも全員無事なようだ。
良かった。
心の底からそう思う。
同時に、次は私が敵を仕留める番だと感じる。
やらなければ。
霊圧はほとんど残っていないが、最後の一撃に全てを込めよう。
次で仕舞いだ。
『──いくぞ。』
亜莉亜の視線と乃雅の視線がぶつかった。
どうやら乃雅も、次の一撃に賭けるつもりらしい。