恋「隊長！」
ただならぬ気配がして、恋次は叫んだ。
白哉は千本桜を片手に、分かっているとでも言うように静かに頷く。
白「いくら数が増えようとも、所詮虚は虚。切り捨てるのみ。」
そう言って、白哉は斬魄刀をふった。
桜の花びらに刻まれ、虚はあっという間に塵になる。
恋「…。」
所詮は虚──なんて言っても、只の虚と大虚じゃ大違いだ。
流石にヤバくないか？
恋次は心の中で思案する。
しかも、数が半端じゃない。
いったい、これだけの大虚をどうやって操ってるっていうんだよ。
恋「くそっ！」
目の前に迫ってきていた虚を力ずくで斬り倒す。
刀をふるう度に体力の消耗を感じる。
この闘い、本当にヤベぇかも。
そう思ったとき、恋次の視界をある物体が横切った。
物凄い勢いで。
や「きゃはははっ！剣ちゃん速～い♪」
剣「この分じゃ、まだまだ戦いは終わりそうにねぇなぁ！久しぶりに満足できそうだァ！！」
生き生きと輝く二人に、恋次は唖然とした。
やっぱりこの闘い、まだまだいけそうだ。
力なく恋次は呟いた。

ル「全く、懲りない方々だ。」
呆れたようにルシファーが息をついた。
杏「はぁ、はぁ……。当然、よ。これでも零番隊、なんだから。」
息も絶え絶えに話す。
さも余裕であるかのように振る舞うが、表情はかなり険しい。
総隊長である山本元柳斎と同等の霊圧を持つ杏樹。
しかし敵が強すぎるのだ。
ルシファーの頭脳を土台に、それぞれの能力を最大限に活かした戦法。
どうすることもできない。
それに加え、体力、霊力の消耗。
杏樹たちに勝機は無いように思われていた。
レ「ふふっ、無様ね。ど真面目な三席さんっ」
今はレヴィアタンとなってしまった湖娘が、楽しげに笑った。
杏「……裏切り者ッ！」
杏樹が湖娘を睨んだが、湖娘は気にもとめない。