その表情は非常に切なく、なんとも言えない。
一「最後には、ちゃんと和解できたんだよな」
魅月は、目を伏せ、一護からゆっくりと手を離した。
一「あんたらも、亜莉亜のことが大事なんだろ？」
一護は、怜と魅月の二人に問いかける。
一「俺は、亜莉亜を護りたい。そりゃ、あいつは俺より何倍、何十倍だって強い。けど、ちゃんと見張ってないと、すぐに自分を犠牲にしちまうだろ。」
怜も魅月も、目を逸らすばかりで何も語らない。
一「そういうあいつが心配なんだよ。」
しばらくの沈黙のうち、怜は口を開いた。
怜「──黒崎一護。」
一「…」
怜の黒い瞳と、一護の茶色の瞳がぶつかる。
怜「貴様に、隊長を止めることができるか。」
一「はぁ？」
怜の唐突な言葉に、一護は唖然とした。
一「止めるってどういうことだよ。」
魅「あのね……私たち席官の中で、噂になってることがあるの。」
雨「噂？」
怜は静かに頷いた。
怜「隊長は、今回の戦いで卍解を使うつもりだ。」
怜は深刻そうに言った。
一「卍解？それがどうかしたのかよ。」
卍解を多用する一護にとっては、卍解の使用がおかしいことだとは到底思えない。
怜「隊長の卍解は特殊だ。始解での霊圧開放でさえあれほどなのに、卍解などしたらどうなるか分かったものではない。」
一「世界の均等が歪むとか、そういった事か？」
一護は、亜莉亜の卍解によって起こりそうな事例を精一杯想像して言った。
魅「それはそうかもしれないけど。そんなことは私たちにとっては重要じゃない。私たちが恐れているのは、卍解の使用によって隊長自身がダメージを負うんじゃないかってことなの。」
雨「そうか！神影さんの能力は確か、”消す”こと。それが本人の負荷になることは、十分に予想できる。」
一「けど、亜莉亜自身が何か言ってたってことじゃねぇんだろ？確定って程じゃないんじゃ…。」
それぞれの解釈ををみせる一護たち。