そんな一護の様子を見越して、怜が魅月の前に出た。
魅「お兄様？」
魅月は怜の行動を不思議そうに見ている。
怜「すまないな、妹が。」
一「別、構わねえけどよ。」
一護はだるそうに立ち上がった。
そして、全身についた土を手で払う。
一「しっかし、まあ、お前に妹がいたとはな。」
怜「可愛いだろう。」
再び辺りは沈黙する。
雨「以外とシスコンだったんだな」
雨竜が苦笑いで言った。
怜「普通だ。──そろそろ本題に入りたいのだが。」
怜のその言葉により、一護たちの表情引き締まる。
怜はそれを確認すると、威厳のこもった力強い声で話し出した。
怜「まず一つ。これから先、隊長と黒雷乃雅の戦いには、絶対に足を踏み入れるな。」
一「はぁ！？」
怜「いいから、黙って聞け。次、二つ目。お前たちには、流魂街側の警備の加勢をしてもらう。」
一「ちょっと待てよ！実際に敵が攻めてるのは瀞霊廷の方だろ？何で──」
一護は険しい目で怜に聞いた。
怜「これは全て隊長のご指示だ。」
雨「神影さんの……！？」
亜莉亜の名前に敏感に反応した雨竜に、怜はちらりと目をやる。
一「けど、俺は亜莉亜を助けたくてここに来たんだ……」
必死な形相で語る一護。
その正面に、魅月はそっと立った。
魅「隊長は、貴方たちを傷つけたくないのよ。」
一護は静かに目を伏せる。
魅「その気持ち、分からないというのなら」
魅月は、静かに一護の胸板に手を添えた。
一「？」
きょとんとしている一護をよそに、魅月は鋭い視線を一護にぶつけた。
魅「私は貴方たちを力ずくで止める！！」
魅月は、一護に触れている手に凄まじい霊圧をこめる。
雨「黒崎！」
織「黒崎くんっ！」
魅月の霊圧に驚き、雨竜と織姫が声を上げる。
一「そっか──。そういや、一年前に亜莉亜とやりあったのってあんただったよな。」
一護は魅月の霊圧を身に受けながらも、ぽつりと呟いた。