一「お前、そんな"桜ノ宮"なんて貴族みたいな苗字だったっけ？」
一護の言葉に、怜の表情がひきつる。
雨「確かに。前に名前を聞いたときは、霧生さんだった気がするが。」
雨竜の言葉に、更に怜の表情がひきつる。
一「まさかお前、婿入りでもしたのか？」
一護はケラケラと笑った。
刹那。
一護の真上から、黒い物体が物凄い早さで降ってきた。
一「んなっ！？」
ズドォォン！！
なす術もなく、一護は地面に叩きつけられる。
雨「黒崎！──って女の子！？」
一護の上に乗る、黒い物体の正体を目の当たりにした雨竜は、驚きの声をあげた。
怜「魅月……」
困ったような声で怜が呟く。
一護は、思いもよらない状況に、目を白黒とさせるばかり。
黒い物体――つまり桜ノ宮魅月は、一護の胸ぐらを掴みながら、怒りのオーラ全開で言った。
魅「なぁにぃがぁ、貴族みたいな苗字よ！桜ノ宮はね、列記とした由緒ある一族なのよっ！！四大貴族なのよ！」
怜「元、な。」
魅月の背後から怜が呟く。
魅「それに、婿入りなんてとんでもない！私がいるんだから、生活に不便はないのっ！」
怜「そのとおり。」
魅「あとね、えっとね、あのね…」
一「言うこと無いなら、さっさと俺の上から降りろ。」
面倒くさそうに言った一護に、魅月はムッとしたような顔をする。
魅「と・に・か・く、これ以上何か言ったら、この私が許さないわ！ね、お兄様？」
満面の笑みで振り返った魅月に、怜は優しく微笑む。
怜「魅月…」
魅「お兄様…」
うるうるとした瞳で見つめあう二人。
沈黙。
一「…って、お兄様！？こいつら兄弟だったのかよ！」
魅「今さら気づいたの？全く。死神代行なんて大したことないわね。クズよ、クズ！」
一「何だとてめぇ……」
硬く握った拳をふるふると震わせる一護。
殴りたい。
しかし、妹と聞くと滅法弱い。
殴れない…。