刹那。
乃雅の体が大きく揺れた。
乃「なっ！？」
『バーカ。』
亜莉亜は口元に弧を描く。
乃雅を真正面から攻めても、結果は見えている。
それなら、隙を見て乃雅の体勢を崩し、一気に攻める。
亜莉亜に足をすくわれ、空中でのバランスを崩した乃雅。
その好機を逃さず、亜莉亜は更に乃雅を攻撃する。
『飛竜撃賊震天雷砲！！』
ドカァァン！
亜莉亜の拳から放たれた巨大な光線が命中し、乃雅は地面に叩きつけられる。
砂ぼこりが舞う中、亜莉亜はしっかりと闇鬼を握り直し、すぐさま口を開いた。
『消せ、闇鬼！！』
亜莉亜を中心に黒いもやが広がっていく。
やがてそれは、乃雅がいるのであろう場所をも飲み込んだ。
ヒュッ…
亜莉亜は無表情で刀を振った。
普通であれば、この合図で全てが無に還る筈。
しかし…
『お前がそう簡単にやられる訳ないからな。』
亜莉亜の視線の先には、何事も無かったかのように平然と立っている乃雅の姿。
乃「あったりめーだ。まだまだ勝負はこれから、だろ？」
『当然だ。』
お互いに挑戦的な視線を向けると、二人は再び刀をぶつけ始めた。

杏「君臨者よ、血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ、真理と節制罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ……破道の三十三、蒼火墜！！」
ドカァァン！！
杏樹から放たれた鬼道によって、十数体の大虚が一気に昇華される。
龍「相変わらずスゲェ威力。そんなんだからいつまで経っても彼氏できないんじゃね？」
杏「んなっ！？あ、ああ、あんたに言われたくないわよ！」
龍「俺のことはいいんだよ！」
双極の丘。
沢山の死神たちが無数の虚と死闘を繰り広げているここに、群を抜いた戦闘力を見せつけている死神が二人。