乃「甘いんだよ！！」
乃雅は拓斗の攻撃を予測していたかのように、さらりと避けてしまう。
拓「チッ」
奇襲に失敗した拓斗が、体勢を立て直そうと亜莉亜の隣に戻る。
乃「何だぁ？もうお仕舞いか？」
長髪をはためかせ、空中から亜莉亜たちに冷たい視線を向ける乃雅。
拓「亜莉亜」
拓斗は亜莉亜に目配せをする。
『少々予定より早まった気もするが、仕方ない。始解して一気に攻めるぞ！』
霊圧の浪費が心配だが、このまま始解もせずに戦闘を続ければ、私たちに勝ち目はない。
亜莉亜は、刀を握る手に力を込めた。
拓「了解。」
乃「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ！！」
亜莉亜たちがこそこそと話すのが気に入らないのか、乃雅が声をあらげる。
『ったく、短気な野郎だな。』
乃「いいから早くかかってこい！」
『言われなくてもッ』
そう言ったが早いか、亜莉亜は力強く地を蹴り、乃雅に斬りかかった。
キィン！
金属のぶつかる音が激しく鳴り響く。
乃「本気見せろよ。」
『っ！』
ふと乃雅の声が耳元で響き、亜莉亜は目を見開く。
辺りはシンと静まり返る。
乃「さぁ、ここからどうする？」
亜莉亜の背後で勝ち誇った笑みを浮かべる乃雅。
その右手に握られた斬魄刀の切っ先は、亜莉亜の首もとにあった。
『…』
亜莉亜の表情が強張る。
乃「俺が怖いか？ちょっとくらい抵抗してみろよぉ！」
乃雅はそう叫ぶが、亜莉亜はともかく、拓斗も苦い顔をしているたけで、微動だにしない。
乃「動けない、か？へえ、よっぽどこいつが大事なんだろうなぁ」
拓斗にからかうような視線を向ける乃雅。
拓「……亜莉亜を放して。」
乃「やだね。弱っちいこいつには、ここで死んでもらわないとな！！」
乃雅は拓斗に目を向けたまま、斬魄刀に力を込めようとした。