双極の丘に舞い降りた亜莉亜は、堂々たる気風で黒雷乃雅に向き合った。
『久しぶり、だな。』
刀には手を触れず、ただ挑戦的な笑みを浮かべる。
乃「遅かったなぁ。へへっ、いい表情だ。」
ニヤリと笑う乃雅。
どこからともなく吹いた一筋の風が、乃雅の長い白髪を揺らす。
乃「そーゆー余裕、好きだぜ。」
黄金色の瞳が、亜莉亜の蒼い瞳をとらえた。
『貴様の好みになど、興味はない。』
無表情で答える亜莉亜。
乃「うわ、つれない奴だな。どうだ、修行の調子は。ちょっとは強くなったんだろうなぁ？」
『それは、』
そう言いかけると、亜莉亜は腰の斬魄刀に手をかけた。
ヒュッ…
鞘から抜かれた刀身が、綺麗な曲線を描きながら乃雅に向けられる。
その動作は、目にもとまらないくらい素早く、優雅だった。
『戦ってみれば分かるんじゃないか？』
そう言うと、亜莉亜は目の前の敵に意識を集中させた。
乃「なるほど、そりゃそうだ。」
乃雅は亜莉亜たちを一瞥すると、狂気に満ちた表情で刀を抜いた。
乃「さぁ始めようか。命をかけたラストゲームだ！！！虚共よ、欲望のままに忌々しい死神を食らいつくせ！」
乃雅の合図と共に、乃雅の背後に控えていた大量の虚たちが動き出す。
亜莉亜は、拓斗と目を合わせた。
『行くぞ。』
拓「オーケー。」
シュッ…
亜莉亜と拓斗の姿が消えたと同時に、虚と死神たちは激しい戦闘を開始した。

キィン！！
亜莉亜の斬魄刀と乃雅の斬魄刀が火花をたててぶつかり、金切り声を上げる。
黒雷乃雅と零番隊隊長格二人との戦闘が行われているここは、双極の丘を少し離れた場所にある森、だった場所だ。
既に元の原型はない。
『ッ…』
ギリギリと刃が押し合う。
険しい表情の亜莉亜だが、前回乃雅と対峙したときとは違い、しっかりと乃雅の斬撃を受け止められていた。
乃「お？……へぇ、なかなか腕を上げてるじゃねーか。」
感嘆の声が上がる。
『それはどうも…ッ』
拓「ハッ！」
乃雅が亜莉亜に気をとられているうちに、拓斗が乃雅を背後から攻撃する。
しかし……