拓「やだよ。初めて見た亜莉亜の表情だから。」
『そうか…』
あんなのが私の第一印象、なのか。
困り顔の亜莉亜はさておき、拓斗は自分の話を続ける。
拓「俺はあのとき、あることを誓った。それは、絶対に君を護る、ってこと。」
拓斗の表情が緩むが、それはすぐに引き締められた。
拓「亜莉亜、愛してる。今までも、これからも。」
"愛してる"
その一言により、隊舎は沈黙に包まれる。
亜莉亜は目を伏せたまま、拓斗の言葉を静かに聞いていた。
拓「もしも零番隊の隊長が亜莉亜じゃなかったなら、俺は副隊長を引き受けなかった。もしも君と出会わなかったら、俺は瀞霊廷を護ろうなんて思わなかった。君と出会ったことが、俺を変えたんだ。君は俺の全て。だから、君だけには傷ついてほしくない。」
重い空気が辺りにのしかかる。
亜莉亜は表情をピクリとも変えない。
拓「なんて、ね。奴とやりあう前に、どうしても伝えておきたかったんだ。まだ、返事はいらない。ただ、俺の気持ちを知ってほしかっただけだから。」
きまり悪そうに拓斗は笑う。
拓「あー、もう、何か恥ずかしいなぁ…」
照れる拓斗の声を引き金に、辺りの空気はざわめきだす。
龍「マジかよ…ハッキリ言っちまったし！」
杏「ついに副隊長が告白……！でも、そんなに驚くことでもない気がするような？」
魅「わぁ…凄くロマンチック…」
怜「…そうだな。」
はしゃぐ席官たち。
そのとき、ずっと黙りこんでいた亜莉亜が静かに口を開いた。
『拓斗、』
騒いでいた隊士たちの声が、一瞬にして静まる。
拓「ん？」
拓斗は亜莉亜に優しげな目を向けるが、亜莉亜は何かを考えているようで、その視線は拓斗には向いていない。
拓斗はそれを見て、微笑む。
しばらくして、亜莉亜は目を上げ、拓斗を見た。