京「ま、大変なのは分かるけど、あんまり頑張りすぎなくても良いんじゃない？最近ちょっと疲れてるみたいだし。」
『だが──』
私が眉をひそめたその時…
バタンッ！！
この部屋唯一の出入口である扉が、勢いよく開いた。
私は、その扉の中心に立っている人物を認識すると、より眉をひそめた。
『何かあったのか。』
息を切らしてたたずむその人物の元に、足早に近寄る。
杏「はぁ…はぁ──隊、長…これ…をっ」
杏樹が手紙のようなものを差し出した。
『…』
無言でそれを受け取り、内容を確認する。
『これは…！！』
京「ちょっと見せてもらうよ。」
京楽が亜莉亜の手元を覗き込んだ。
『予告、だな。』
かすれた小さな声で、亜莉亜は呟いた。
杏「さっき、隊舎の門にはさんであるのが見つかって。」
『そうか…』
京「なになに？──明日が、この世界の命日になる日だ。阻止したいなら修行の成果、存分に発揮してみろよ。最後のゲーム、派手に楽しもうぜ。ラストゲーム、スタート。初代王属特務隊長、黒雷乃雅。──明日、ねぇ。」
手紙の内容を読み上げた京楽が、フウッと息をついた。
『杏樹、零番隊は？』
亜莉亜は、張りつめた表情で杏樹に尋ねる。
杏「副隊長の指示で、流魂街や現世に結界を張りに。」
『よし、その作業を、護廷の隊員たちにも手伝わせろ。それと同時に再び隊首会を開き、対策を話し合う。いいか、これは王属特務隊長命令だ。』
杏「はいっ！！」
シュッ
気合十分な返事をした杏樹が、瞬歩で姿を消し、辺りには数秒間の沈黙が訪れる。
『ついに、か。奴との決着をつける日が来る。』
亜莉亜は緊張した面持ちでそう呟くと、ゆっくりと目を閉じた。
その瞳が開かれたとき、もうそこに迷いは無かった。