卍解の修業を始めてから、はや一週間。
私は寝る間を惜しみ、闇鬼と共に鍛練を重ねてきた。
全ては仲間たちのため、そして私自身のため。
一週間前と比べ、私は随分腕を上げたのではないかと思う。
だが、黒雷乃雅は強い。
それも、誰も手がつけられないほど。
私は、奴に勝てるだろうか。
こんなにも努力しているのだ。きっと勝てる。なんて、淡い希望を抱いてはみるものの、現実は自分が一番分かっている。
奴には、勝てない。
こんな程度の技術しかなければ、卍解が使えたって結果は見えているだろう。
私は、焦りを感じていた。
最初に奴が出てきてから、もうかなりの日数が過ぎた。
いつ本気で攻めてきてもおかしくはないはずだ。
そもそも、奴は何故私たちにこんな時間を与え、力をつけさせるのだろう。
単に、戦いを楽しむためだとは思えない気がする。
何故なら、初めて奴が出てきたとき、奴は私たちをいたぶらなかったから。
もし奴が戦いを楽しむことしか考えていないなら、じわじわと私たちを追い詰め、いたぶったはずだ。
とすると、何か別の理由があるのだろうか？
『…はぁ。』
なかなかまとまらない思考に、深いため息をついた。
「亜莉亜ちゃ～ん？もう隊首会お開きになったけど…？」
突然聞こえた気の抜けた声に、私はハッと視線を上げた。
『京楽！！』
京「そんなに驚いて。僕が珍しかったかい？」
目を丸くする京楽が、微笑む。
どうやら、隊首会に参加しつつも、私の意識は完全に上の空だったらしい。
ちなみに、今この部屋に残っているのは京楽と私のみだった。
一体私は、どれくらいの間立ちすくんでいたのだろう。
京「それはそうと、何か考え事かい？」
『あ？あぁ、まあな。』
再び飛びかけていた意識を強引に戻し、私は京楽との会話に集中するよう努めた。