闇「ただし、条件がある」
『分かってる。"生きる"ことだろう？』
闇「流石、我が主。」
亜莉亜と闇鬼は、静かに微笑みあった。

『それで、安全に卍解をするための条件は？』
早速闇鬼に尋ねる。
闇「まず一つは、卍解時、主の霊圧が十分に余っていること。」
『ちなみに、どのくらいだ。』
闇「確実に安全だと言えるのは、主の霊圧の95％以上が残っている場合だ。」
そんなに……！厳しいな。
闇「そして次に、主の体力が十分であること。」
『体力！？』
亜莉亜は驚いて闇鬼に聞き返す。
闇「卍解での体への負担にどれだけ耐えられるかで、卍解の持続時間が決まるのだ。
『そう、か。』
闇「もし主の体力が少なければ、卍解は1分ももたないであろう。」
『たったそれだけなのか……』
闇「それから、最も重要なものは、主の戦闘のスキルだ。卍解状態の我は、非常に扱いづらい物となるであろう。」
『それは、動きが重いってことか？』
亜莉亜の問いに、闇鬼は首を振った。
闇「通常の数十倍は動きが軽くなるのだ。それを使いこなせるかどうかは、主の腕次第だろう。あとは、なるべく卍解状態の時間を短くすること。」
『つまり、なるべく相手を弱らせておいて、短時間の卍解で確実に倒さなければならないということか』
闇「そうだ。今言ったこと全てが守られるなら、安全に卍解することが可能だろう。」
亜莉亜は黙り込んだ。
それが成功する確率は、ごくわずかだろう。
この厳しい条件を守れなければ、待つのは──。
闇「主……」
闇鬼が亜莉亜を気遣うように声をかける。
『やるしかないんだ。いくら条件が厳しかろうと。──早く、修業を始めよう。』
そう、やるしかない。
必ずやりきってみせる。
闇「……その通りだ。それでは早速、あちら側に戻るぞ。」
亜莉亜が頷くのと同時に、亜莉亜の意識がフッと揺らいだ。