喜「ですが、なぜ吉沢サンたちでなければならなかったのか。そして、なぜ吉沢サンたちは黒雷乃雅の存在を、”あのお方”として認知していたのか。それに関する手がかりは一切ありません。」
『あと、なぜ黒雷乃雅は封印された、いや、封印させたのか。それも分からない。当時、奴を倒すことは不可能だったはず。なら、奴が自ら封印を望んだとしか考えられない。』
私は、先程の隊首会で聞いた情報から、奴について考えた。
隊首会で聞いた内容では、黒雷乃雅は一千年以上前に初代王属特務の隊長を勤めた人物らしい。
当時王属特務は極秘に活動をしていたため、裏では王属特務として戦い、表では普通の死神の１人として生活していた。
だが、ある日突然尸魂界に謀反を起こし、瀞霊廷に壊滅的な被害を与えたという。
あまりにも強かったため当時の護廷十三隊では対応しきれず、奴はしばらく野放しにされた。
数日後、奴は流魂街の一郭で意識不明の状態で発見され、目を覚まさないまま封印という刑を受けた。
あまりにも謎が多い。
喜「──ここからはアタシの推測にしかすぎませんが。」
『…』
喜「もしかすると、吉沢サンたちは彼から作られた存在なのではないでしょうか。」
『確かに、それを前提にすると、吉沢たちでなければいけなかった理由と、吉沢たちが奴を知っていたことが説明できるな。』
喜「それから、彼は未来に生まれる新たな零番隊を狙っていた。そう考えれば、封印を望んだ理由が説明できます。」
私はハッと息をのむ。
新たな零番隊、つまり私たちを狙っていて、私たちが活動するのを待つために、自らを封印させた。
そして復活の際に必要な霊力を分割して、魂魄に授けた。
つじつまが合うじゃないか。
喜「この話はあくまで推測。ですが、もしこれが事実だとしたら、今一番危険にさらされているのは貴女です。」
『……なるほど』
喜「亜莉亜サン、くれぐれもお気をつけて──」
亜莉亜は真面目な顔で頷いた。。