拓斗は、ふらふらと瀞霊廷内を歩いていた。
亜莉亜のあの表情。
一体どういう意味だったんだろう。
流魂街で亜莉亜を見つけてから、俺はずっと考えていた。
どうも様子がおかしい。
亜莉亜、俺に何か隠し事してる。
それは確実。
でも、直接聞くことなんて……。
だって、本当のことも分かる気がするから。
《奴を倒すまで、宜しくな》
新たな誓いを立てた、あの日の言葉。
俺は笑って亜莉亜の言葉を訂正したけど。
ずっと心の中では引っ掛かってた。
あの言葉はまるで、敵を倒したらお別れ──つまり、死ぬって言ってるみたいじゃん。
でも、まさか、ね。
だけど、もしも──
俺は、ピタリと足を止めた。
いや、もしもなんて起こさせない。
俺が絶対に護ってみせる。
そのためには──
俺は、目的地を修練場へと定めた。
それも、十一番隊の。

十一番隊修練場の前に立った俺は、
バキィッ！
横引きのドアを真正面から蹴破った。
中にいた隊員たちの視線が、一気に俺に集中する。
「え！？我妻副隊長！？」
「俺たち何かしでかしましたっけ？」
「いや、また隊長がやらかしたんじゃねえのか？じゃないと、我妻副隊長がこんなに」
拓「怒ってはいないよ。」
隊員たちのざわめきに、拓斗は笑顔で答える。
拓「ただ、」
温かくにこやかな笑顔が、一瞬にして冷たく不敵な笑みに変わった。
拓「戦いに来ただけ。」
「「「「ひいっ…」」」」
普段見ない拓斗の表情に、隊員たちは冷や汗を流す。
拓「相手してくれるよね？好きでしょ？こういうの。」
適当に拝借した木刀を片手に、拓斗は一歩、また一歩と静かに進んだ。
拓「そういや、一角や弓親は？」
一「ここにいるぜぇ！！！」
弓「面白そうなことやってるね。」
拓斗がそう言った直後、一角と弓親が、どこからともなく降ってきた。