亜莉亜は、気持ちを落ち着かせるため、一度深呼吸をして、目を閉じた。
そして、ゆっくりと目を開くと、その場にあぐらをかいて座り込んだ。
ヒュッ…
自らの斬魄刀"闇鬼"を、帯から抜き、目の前に持ってくる。
再び亜莉亜は目を閉じた。
『（闇鬼──）』
心の中で、静かに呼び掛ける。

目を開くと、そこには全てが枯れ果てた森が広がっていた。
辺りは薄暗く、気味が悪い。
だがここは、亜莉亜の精神世界なのだ。
「我が主よ。この姿で会うのは久し振りか？」
低い声が辺りに響き、亜莉亜の前方に突然、ぼんやりとした人影が現れた。
『長い挨拶はなしだ。聞きたいことがある。姿を見せろ、闇鬼。』
亜莉亜がそう言い切ると、ぼんやりとした人影は、はっきりとした人間の姿になった。
闇「聞きたいこととは何だ。」
そう言いながら、ゆっくりと歩いてくる長身の男、これこそが、闇鬼の本体である。
『卍解について』
亜莉亜が答えると、闇鬼は表情をこわばらせた。
闇「それは」
『まだ知るべきではない、なんて言っても無駄だ。今日という今日は、お前の口から真実を聞き出す』
闇「……」
亜莉亜は、闇鬼を下から睨み付けた。
闇「話すつもりは無い」
亜莉亜と闇鬼の視線が激しくぶつかる。
『どうして。何故私に卍解を授けてくれない。』
闇「必要が無いからだ。」
悲痛な声で尋ねる亜莉亜に対し、闇鬼は冷たく答える。
『必要が無いだと？そんなわけないだろう。現に、私はこの前、あいつに負けた…！』
闇「随分と感情的になるんだな。それならば聞こう。なぜ主は我との出会いを忘れてしまったのだ。」
その鋭い言葉に、亜莉亜はハッと目を開いた。