辺りを心地よい風が包む。
風にあおられた桜の花びらが、一枚、また一枚と散っていく。
そして、空色の長い髪をなびかせながら、それを見上げる女性が一人──


『もうこの季節か』
拓「つまり、もうあれから一年が経ったんだね。」
『月日が流れるのは、本当に早いな。』
舞い落ちる桜の花びらたちを眺めながら、亜莉亜は黙り込む。
春になり、護廷にはたくさんの新入隊員たちが入ってきた。
零番隊にもたくさんの隊員たちが入り、普通なら二人もすがすがしい気持ちでいっぱいのはず。
だが、二人は冴えない表情をしている。
拓「亜莉亜、気が重いのは分かるけど、そろそろ隊舎に帰らないと。」
『んー』
しぶしぶと亜莉亜が返事をする。
二週間ほど前、真央霊術院の卒業生たちの入隊に備え、開かれた隊首会。
そこに原因はあった。